南禅寺界隈別荘群の傑作庭園の一つ。近代京都を代表する庭師・七代目小川治兵衛(植治)と武者小路千家の茶人・木津聿斎が作庭の庭園で特別な時間を―
桜鶴苑庭園/看松居について
【レストラン・ブライダル利用者向け】
「桜鶴苑」(おうかくえん)は京都を代表する寺院の一つ『南禅寺』の参道にあるレストラン/結婚式場。近代に興隆した美術商社・山中商会の初代社長・山中定次郎の邸宅として造営された南禅寺界隈別荘『看松居』がそのルーツで、その庭園や建築は近代京都を代表する庭師・七代目小川治兵衛(植治)、茶道武者小路千家12代目の木津聿斎(木津宗詮)により手掛けられました。
※なお庭園の見学はレストランでのお食事やウェディング利用者のみ可。
山中商会の海外進出の責任者から初代社長となった山中定次郎の本邸として看松居(かんしょうきょ)が竣工したのは1917年(大正6年)。
2005年に地元企業・ワタベウェディングによって結婚式場・京懐石&ダイニング「桜鶴苑」としてオープン。敷地内にはインテリアデザイナー・飯島直樹さんの手掛けた新棟もありますが、かつてのお屋敷の中でもお食事をいただけます。
1,200坪の敷地に広がる庭園は、七代目小川治兵衛(植治)作庭による池泉回遊式庭園。「南禅寺界隈別荘群」のスタンダードと言える、琵琶湖疏水から引き込まれた水の流れ、そして東山の借景を活かした庭園で――。築山に登ると自然味あふれる園路があり、そして平地にはかの“東山大茶会”でも会場となった2棟の茶室を繋ぐ露地庭があり。少し園路を歩くだけで変わる景色が楽しめる素晴らしい庭園!
現在は名前に“桜”が入っているけど、元々は“松”が入っていた通り主木はマツ。
小川治兵衛ともう一人この庭園に関わったもうクリエイターが茶人・木津聿斎。国指定名勝『琴ノ浦 温山荘園』の作庭者として名前を残す方でもあり、大阪の住友本邸『慶沢園』では小川治兵衛ともタッグを組んでいます。建築だけではなく木津聿斎の作品一覧には看松居の庭園が記されているので、この庭園は小川治兵衛だけではなく木津聿斎との共作…?
先に書いたような池泉回遊式庭園については“植治らしさ”が出ている半面、庭園中央に鎮座する石造りの門や、玄関に近い茶室の前のサークルを描いたような延段は他の植治の庭では見たことがないデザイン。
その辺は木津聿斎の意向が反映されていたりするのかなと感じるし、小川治兵衛の庭に対しそれらがスパイスになっている…全体として“茶会のための空間”として構成されているように感じるのがまたこの庭園の素晴らしさ。名作、傑作!
桜鶴苑さんの公式では小川治兵衛の名前しか挙がっていないように、近代の日本庭園は“七代目小川治兵衛であること”が一つのブランド。
その一方で、庭園めぐりで木津聿斎の名前を見ることはあまり無いけれど――“茶人である”格からすれば、この庭園(建築含めた空間)のプロデューサーはどちらかと言えば木津聿斎だったのかなぁと想像する。小林武史と桜井和寿みたいな…要はどちらももすごいよねという話(優秀なクリエイターの名前を少しでも多く記したい)。そんな空間で味わうランチは本当に格別!京都旅行の特別な場所としてぜひ予約してみて。
(2021年4月、2024年2月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京都市営地下鉄東西線 蹴上駅より徒歩5分
最寄りバス停は「南禅寺・疏水記念館・動物園東門前」「南禅寺・永観堂」バス停 徒歩5分
〒606-8437 京都府京都市左京区南禅寺草川町55 MAP