
近代〜昭和時代の音楽評論家・大田黒元雄が残した、荻窪駅から程近くの東京の紅葉の名所庭園…毎年秋にはライトアップも。洋館が国登録有形文化財。
大田黒公園(旧大田黒家住宅庭園)について
「大田黒公園」(おおたぐろこうえん)は東京都杉並区のJR/東京メトロ・荻窪駅からほど近くにある杉並区立の公園/日本庭園。近代~昭和時代に活躍した音楽評論家・大田黒元雄の旧屋敷地で、園内に残る一部の建築(洋館・蔵)が「旧大田黒家住宅」として国登録有形文化財。
荻窪駅南口から南側へ徒歩10分程。幹線道路の青梅街道&環八から程よく距離があり、善福寺川への緩やかな登り降りのあるこの一帯は現在も閑静な住宅街ですが、この『大田黒公園』(旧大田黒元雄邸)、現『角川庭園』(旧角川家住宅)、そして2024年から公開が開始された『荻外荘』(旧近衛文麿別邸)などが残るお屋敷街でもあります。
これら“荻窪三庭園”の中で日本庭園としては最大の規模をほこり、中央線沿線の紅葉の名所として人気なのが大田黒公園。
近代~昭和時代の戦前から多くの音楽に関する著書を残した、音楽評論家のパイオニア的存在・大田黒元雄。晩年には紫綬褒章・勲三等瑞宝章を受章、文化功労者となった氏が荻窪に自邸を構えたのは1933年(昭和8年)。当時建てられた建築のうち洋館(離れ)と蔵が現存し、2棟とも2016年に国登録有形文化財に。氏の仕事部屋だった洋館は記念館として内部も公開され、氏が愛用していたスタインウェイ社製のピアノなどが展示。
そんな大田黒さんの死後、氏の遺志に沿って屋敷地が杉並区に寄贈、1981年(昭和56年)に区立の公園として開園。
瓦葺きと土塀の正門からのアプローチは樹齢100年以上というイチョウ並木が続く。その先、かつて主屋があった場所に現在は休憩所と茶室を備えた管理棟(管理事務所)があります。こちらのコンクリート造の平屋建は洋館と比べれば新しいものの、もう数年すれば築50年…という所で、「昭和レトロな近代数寄屋建築」としての味がある。
その休憩所からは緩やかに下る形の斜面となっているこの庭園。中心部には広い芝生広場が、そして休憩所の目の前にある流れはその芝生広場を湾曲する形で、敷地の下部に位置する池泉と流れ込んでゆく、池泉回遊式庭園となっています。緩やかな斜面を活かし、芝生広場や流れのある日本庭園…近くでは中野区の国指定名勝『哲学堂公園』、タイプが近いと感じる所では庭園好きにはお馴染みの元首相・山縣有朋の旧邸庭園の一つ『三番町共用会議所』の庭園によく似た、「近代東京の日本庭園」として貴重な例の一つでもあります。
四阿(あずまや)のある池泉の周辺に特にモミジが植わっており、秋には紅葉の名所に。またそれ以外の時期にも、この池で泳ぐ錦鯉と触れ合うべく地元の方が多く訪れる憩い・癒やしの庭園となっています。
例年秋には紅葉ライトアップも実施。都会・荻窪にこんな緑の多い日本庭園があるのか…!と驚く庭園。荻窪に訪れた方はぜひ立ち寄ってみて。
(2015年11月、2017年11月、2025年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
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