松本城主も度々訪れた、江戸時代初期から続く大庄屋に作庭された苔の美しい池泉鑑賞式庭園。長野県指定名勝。
大庄屋 山口家庭園について
【事前連絡推奨/12〜3月は休園】
「大庄屋山口家」(おおじょうややまぐちけ)は『国営アルプスあづみの公園』の一角にある、江戸時代初期から続く大庄屋。現在も豪農屋敷が残り、その庭園が「山口家庭園」として長野県指定名勝となっています。
観光情報にも掲載されている場所ではありますが、現在も山口さん個人が住まれているお宅なので鑑賞希望の際は事前に都合を確認するのが確実。
2019年夏のアウェー松本山雅戦からの庭園巡り。約2年ぶりに好きな町・穂高を訪れ、一番最初に足を運んだのはこちらでした。穂高の北アプルス+田園風景を眺めながら自転車で走るのはいつも気持ちいいんですがーーこの山口家は山側にあるので割と上り坂が大変…!
中世の山城・岩原城跡の麓に長い土塀に囲まれたこの邸宅が現れます。山口家は江戸初期の1630年頃から続く当地の“長尾組”内を統括する大庄屋であり、名勝になっている庭園は江戸時代初期の1681〜1688年にかけて作庭されたもの、そして(この7月の庭園巡りで多数紹介した)本棟造りの主屋は庭園より少し後、元禄年間の建築。
広い書院の北庭として作庭されたこの池泉鑑賞式庭園は松本藩主も度々眺めに訪れたとか。同じ安積野の『等々力家庭園』や松本市指定名勝『百瀬家庭園』もなんとなく横に長い庭園だったけど、この庭園も横に長い池泉が特徴。
そして書院を下りたところから足元の苔が美しい!山の麓という地形だからなのか、この旅で訪れた中でも(これまで見た長野県の庭園の中でも)最も苔の美しい庭園でもある。目の前にはモミジの木があるので、秋には苔と紅葉の組み合わせがきっと美しいんだろうなあ。
主屋の正面からは桃山時代の作風が見られる滝石組を正面に眺められ、そして切石橋〜板橋の築山の上にも三尊石のような石組が見える。なお本来はこの山へと園路が続く回遊式庭園だったようです。
この庭園は明治以降も藤森桂谷をはじめ多くの文人墨客が訪れ、そして日本アルプスを世界に紹介した登山家・ウォルター・ウェストンも山口家に滞在。またこの家出身の日本画家・山口蒼輪の作品も鑑賞できます。
新潟の豪農の庭園もすごいけど、長野の豪農の庭園もすごい。甲信越北陸、きっと探せばまだまだあるんじゃないか。
(2019年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR大糸線 穂高駅より約6km(※駅前にレンタサイクルあり)
穂高駅より路線バス「国営アルプスあづみの公園」バス停下車 徒歩10分(土日祝のみ)
〒399-8211 長野県安曇野市堀金烏川70 MAP