温泉寺庭園

Onsenji Temple Garden, Suwa, Nagano

織田信長ゆかりの梵鐘(長野県宝)越しの諏訪湖が絶景!諏訪高島藩主の菩提寺に残る高島城能舞台遺構と2つの日本庭園。国指定史跡。

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温泉禅寺庭園について

「臨江山 温泉寺」(おんせんじ)は信州の人気温泉地・上諏訪の諏訪湖を見下ろす高台にある臨済宗妙心寺派の禅寺。江戸時代を通じて諏訪高島藩主をつとめた諏訪氏の菩提寺で、『高島城』から移築された本堂が諏訪市指定文化財、諏訪家の墓所が「高島藩主諏訪家墓所」として国指定史跡となっているほか、枯山水・池泉回遊式の2つの日本庭園があります(自由拝観)。中部四十九薬師霊場7番札所。
2023年8月に初めて訪れました。

江戸時代以前から温泉地として知られていた諏訪。温泉寺の歴史も江戸時代初期にさかのぼります。高島藩二代目藩主・諏訪忠恒が初代藩主・諏訪頼水を開基、下諏訪の『慈雲寺』の泰嶺和尚を開山として1640年(寛永17年)or1649年(慶安2年)に創建。建立の目的の一つが「上諏訪温泉の源泉の守護」で、寺名の由来はまさにそこから。

それ以降は高島藩主諏訪家の菩提寺にもなり、境内の高台部には忠恒〜八代目藩主・諏訪忠恕までの歴代藩主の墓所が残り、大名家の貴重な墓所として2017年に国の文化財に指定されました。

明治維新を迎えた直後の1870年(明治3年)に温泉寺は火災で伽藍(建造物)を焼失。その代わりとして移築されたのが高島城に幕末に建てられた能舞台(本堂)と薬医門(山門)で、現在もそれぞれ立派な姿を見せてくれます。

この本堂と裏手にある多宝塔・御鉄塔が諏訪市指定文化財で、多宝塔は先の焼失を免れた江戸時代中期築と更に古い建築。なお諏訪氏のルーツは『諏訪大社』の神官の一族で、この多宝塔の中には諏訪大社上社本宮の御神体が安置されるなど神仏習合の時代の面影も感じられるのが一つの特徴。

庭園は2箇所。まずは本堂・客殿の前にあるのが禅寺らしい白砂とマツの枯山水庭園で、借景となっている諏訪湖の景色が◎!(庭園内に屋根の支柱が立っているのは新しくしつらえられた庭であるゆえ)
またこの枯山水の並びにある梵鐘は織田信長ゆかりとされるもので、長野県宝に指定。室町時代中期の1430年(永享2年)の作で、元々は伊那市の『安養寺』にあったものを略奪、織田信長が武田勝頼を攻めた時にここまで引いてきたものを再活用されたものなのだとか。

主庭園として本堂・客殿の裏手に池泉回遊式庭園があります。建造物と異なり文化財指定は受けていないながらも、諏訪市指定名勝の『地蔵寺庭園』『仏法紹隆寺庭園』に負けず劣らず、大名の菩提寺にふさわしい素晴らしい庭園!
心字池を手前に置いて、奥には斜面を活かした立派な滝石組が見られます。春には樹齢約370年の枝垂れ桜や斜面に植わったツツジやサツキの花々、夏前にはアジサイが見どころで、秋には紅葉ライトアップも行われるとか。

そして高島藩主諏訪家以外にも、平安時代中期の歌人・和泉式部のものと伝わる墓所も。温泉や花火で諏訪を訪れる際にはぜひ立ち寄ってみて。

(2023年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR中央本線 上諏訪駅より徒歩10分

〒392-0002 長野県諏訪市湯の脇1丁目21-1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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