“日本三大車窓”でも有名な“姨捨”は古くは平安時代“古今和歌集”にも詠まれ、松尾芭蕉、歌川広重の作品にもなった“ランドスケープの重要文化財”国指定名勝。
姨捨の棚田・田毎の月について
「姨捨の棚田」(おばすてのたなだ)は“日本三大車窓”として鉄道ファンにも人気のJR篠ノ井線・姨捨駅から眺められる棚田。「姨捨(田毎の月)」として棚田・農地で初めて“ランドスケープの重要文化財”国指定名勝に選定。また国の重要文化的景観にも選ばれています(長野県内では初)。
その景観は姨捨駅でのスイッチバック時にも眺めることができますが、棚田そのものや棚田を一望する展望台までは駅から徒歩10分ほど。
現在見られる棚田は江戸時代初期~中期に開発され、明治時代に今日まで伝わる姿に整えられたものとされますが、月見(観月)の名所としての歴史は更に古く平安時代に遡ります。その時代に編纂された『古今和歌集』に掲載の《わが心 なぐさめかねつ さらしなや 壊捨山に てる月を見て》(詠み人知らず)を最古の例として、鎌倉時代の『新古今和歌集』では公家・藤原家隆がこの地を詠んだ作品を収録。
戦国時代~桃山時代にはその時代の狂言や上杉謙信の願文に「姥捨山の田毎の月」が登場。江戸時代には松尾芭蕉の俳句、歌川広重の浮世絵の題材にもなった、まさに歴史的なランドスケープに。
棚田の風景に加え、その先に善光寺平と千曲川の景観をのぞむことができます。尚、国指定名勝として保護されているのは芭蕉句碑の残る『長楽寺』からの眺め。ぜひ一度途中下車して、お寺・展望台まで足を伸ばしてみて。
(2016年9月、2023年8月、2024年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)