日本国内最大手の製粉メーカー・日清製粉が創業の地・館林に開館したミュージアム、近代の洋館や造園家・斉藤勝雄の作庭の日本庭園も。
日清製粉 製粉ミュージアム 日本庭園について
「日清製粉グループ 製粉ミュージアム」(にっしんせいふん せいふんみゅーじあむ)は製粉大手・日清製粉による「製粉」がテーマのミュージアム。明治時代に建築されたレトロな洋館(本館)の前に日本庭園が広がります。昭和の造園家・斉藤勝雄による作庭で、ミュージアム開館時にフィールドフォー・デザインオフィスにより全体のランドスケープがリデザインされました。
国指定名勝のツツジの名所『躑躅ヶ岡』(つつじが岡公園)を目的に訪れた館林市、実は東武伊勢崎線・館林駅の西口を出て目の前にあるこの施設にも日本庭園があります。
製粉分野では日本国内最大手の日清製粉、その創業の地は館林。その前身「館林製粉」の実質的な創業者・正田貞一郎は上皇后美智子さまの祖父にもあたる人物で、日清製粉の経営のほかにも東武鉄道の会長もつとめた近代の有力実業家の一人。(なお初代の社長は『根津美術館』の根津嘉一郎。)
そんな日清製粉が創業の地・館林に2012年(平成24年)11月に開館したのがこのミュージアム。清水建設により新たに建てられた「新館」と、明治時代から残る「本館」、そして日本庭園から構成され、館内ではあまり触れることのない「製粉」や小麦・小麦粉に関する各種展示(映像や器具)を見ることができます。ワークショップも。
「本館」は1900年(明治33年)の創業時に建てられた「旧工場本館」をルーツとして、現在地に1910年(明治43年)に建築されたレトロな近代建築で、外観だけじゃなく内装も当時のまま。1970年からは『日清製粉製粉記念館』として活用されていました。今回のミュージアムオープンにあたり免震設備などが施され、ミュージアム全体で2013年のグッドデザイン賞に選ばれています。
そんなミュージアムの大部分を占めるのが庭園。公式サイトの説明はあっさりしてるけど実は現地には日本庭園だけのパンフレットも用意されている力の入れ具合。
原型となる「日清製粉製粉記念館」の庭園を作庭したのは造園家・斉藤勝雄。昭和の東京の造園家として名前をお見掛けすることは多かったけれど、氏の作の庭園を紹介するのはここと『館林市文化会館 日本庭園』が初。訪れた時は年代も作者も異なる庭園だと思い込んでたけど、作者が同じと言われてみると池の洲浜のスタイルとかは同じだ…。
“三光の庭”と名付けられた池泉庭園の中には太陽・月を表現した大小4つの石臼が配されています。そのうち最も大きな石臼はフランスで造られた瑪瑙製の石臼だそうで、北海道のトラピスト修道院へ運ばれた後に修道院より寄贈され、この庭園の一部に。
そのほかこの広々とした日本庭園には約50の植物が植栽されていて、四季の花木を楽しむことができます。館林観光の最初や最後にぜひ立ち寄ってみて。
(2022年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)