西村家庭園

Kamigamo Nishimura Villa's Garden, Kyoto

平安時代に上賀茂神社の神主・藤木重保により作庭された、神山の借景と曲水の流れの美しい庭園。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

西村家庭園について

【期間限定公開(冬季休業/2021年現在閉業中)】
「西村家庭園」(にしむらけていえん)は世界遺産の神社『上賀茂神社』の社家町に残る庭園で、京都市指定名勝。
国の重要伝統的建造物群保存地区となっている上賀茂神社のお膝元・上賀茂の社家町の町並み。これまで何度か訪れていますが、あまり観光客の居ないエリアで――その落ち着いた風情も、明神川に掛かる石橋や石垣・土塀の並ぶ街の歴史的景観も好きなのですが、この庭園はまだ見たことがなかったので初訪問。これが!期待以上に素晴らしい庭園だった!

通称“賀茂の社家”として公開されているこの「西村家別邸」はかつては上賀茂の社家・錦部家の旧宅のあった場所。敷地内には複数の庭園がありますが、特に素晴らしかったのが上賀茂神山を借景とした北庭。作庭も平安時代後期の1181年という古さ(平氏に対して源氏が反旗を翻し始めた最中)で、当時の上賀茂神社の神主・藤木重保により作庭されたものと推察されています。

この地域の庭園の特徴の一つとされるのが、この地域を流れる明神川から水を取り入れ、庭の池泉・小川に利用したのちそのまま明神川に流れ出す――という構成で、かつては曲水の宴も開催されたのだとか。また庭園の正面奥には神山の降臨石(上賀茂神社の祭神・賀茂別雷命が降臨したとされる場所)を表した石組があり――その先の借景に神山をのぞむという構成の美しさ。

この邸宅が西村家(西陣で織物業を営んでいた西村清三郎)の所有となったのは明治時代で、現在の主屋はその頃に建てられたもの。庭園もその際に再整備されたそうなので――平安時代の面影がどれぐらい残っているかは不明ですが、素晴らしい庭園には違いない。
ちなみに南庭はこじんまりとした池泉回遊式庭園。芽を出しているのはモミジかな…?だとしたら秋にはまた全く雰囲気の庭園が見られれそう。

上賀茂の付近、何度も通ってるのになんでこの庭園に入る機会なかったのかな〜〜と思ったのだけど、冬季は公開しておらず、公開期間は3月15日〜12月8日(古びた看板にこの日程があったので、曜日に関わらず例年そうなのかな?)。ああなんかこの辺りを自転車で走ってたの、冬場が多い気がするな…(夏は暑いからここまで来ない…w)。
また同じく上賀茂の社家として、“梅辻家住宅”“岩佐家住宅”も京都市の文化財。いずれも通常は公開されていませんが、岩佐家には江戸時代の古庭園“岩佐家庭園”があり、梅辻家は稀に特別公開があるそう。いつか見たい!

(2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京都市営地下鉄烏丸線 北大路駅・北山駅より徒歩約20分
最寄バス停は「上賀茂神社前」バス停。下車徒歩4分

〒603-8075 京都府京都市北区上賀茂中大路町1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
PICK UP / COLUMN
最新の庭園情報は約10万人がフォローする
【おにわさん】のSNSから。