
南禅寺屈指の紅葉の名所に築庭された菱形の畳石が特徴的な枯山水庭園と、南北朝時代の池泉回遊式庭園。
南禅寺天授庵について
室町時代に制定された“京都五山”の中で最も高い格式の“別格”の位を持ち、京都および日本の禅宗を代表する寺院『南禅寺』。その塔頭「天授庵」(てんじゅあん)では枯山水庭園と池泉回遊式庭園、2種類の庭園を楽しむことができます。また紅葉の名所として知られ、例年秋にはライトアップも。2019年秋に3年半ぶりに訪問!紅葉が見頃だったので、紅葉の写真を中心に…。
天授庵は南北朝時代序盤の1339年、南禅寺の開山・大明国師こと無関普門禅師を祀るために光厳天皇の勅許により建立。しかしその後の応仁の乱で焼失。
桃山時代に細川幽斎の援助を受けて現在も残る本堂(方丈)、旧書院、正門などの伽藍が整備されました。建物内は非公開なので見られないのですが、国指定重要文化財となっている長谷川等伯の襖絵などが残るそう。また中興の祖である細川幽斎の夫妻の墓所も残り、国重文の『絹本着色細川幽斎像・婦人像』も所有しているそうですがこれらも非公開。
順路に沿って庭園へ進むと、まずは菱形の畳石を直線で見せる構成が特徴的な枯山水庭園“本堂東庭”。…初めて拝観してから今の今まで、このデザインは小堀遠州による発案だと思っていました。Wikipediaの一文を信じ切っていたのですが、改めてパンフレット読んだり、研究文献を探しても小堀遠州の名は出てこないんだよな…。
奥の石組が『南禅寺方丈庭園』の“虎の子渡し”に似てる?と思ったけど石組は現代になってからという記述も。南禅寺三門側へ向かう石畳は創建当初からあると推定されていて、桃山〜江戸時代初期に関わってそうなものはそれと逆側の石畳ぐらい?あまり遠州推しとは言えないかも…。
それはさておき、近現代を思わせる幾何学的な石畳と白砂と苔の組合せはとてもかっこいい。新緑の季節もそう感じられたけど、今回秋の紅葉シーズンにも訪れて――白砂と苔と紅葉のコントラストはとても美しかった!
また池泉回遊式庭園“書院南庭”は天授庵創建当時の鎌倉時代末期〜南北朝時代に造られたとものとされます。中の島の築山の石組が個人的に気になっていたけど、こちらは明治時代初期に大きな改修を経たものとのこと。
今回訪れた際は紅葉と苔が美しかったけれど、モミジが落葉した後もその石組と苔の組合せが重点的に楽しめそう。また池泉庭園の方もより東山山系の借景がのぞめそう。また落葉している季節にも訪れてみたい!
(2016年5月、2019年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京都市営地下鉄東西線 蹴上駅より徒歩8分
最寄バス停は「南禅寺・疏水記念館・動物園東門前」バス停 徒歩6分
〒606-8435 京都市左京区南禅寺福地町86-8 MAP