室町幕府初代将軍・足利尊氏が必勝祈願をした古刹に残る、江戸初期の池泉鑑賞式庭園。兵庫県指定名勝。
妙勝寺庭園について
「妙勝寺」(みょうしょうじ)は室町幕府初代将軍・足利尊氏ゆかりの寺院で。江戸時代初期に作庭された池泉鑑賞式庭園が淡路最古の庭園として兵庫県指定名勝となっています。
鎌倉幕府滅亡後に後醍醐天皇を中心に敷かれた「建武の新政」。それに離反する形となった足利尊氏は一度は新田義貞と楠木正成に敗れ、九州に落ち延びました。その途中、風待ちの為に淡路の港に立ち寄った際に訪れたとされるのがこの「妙勝寺」。この寺院で必勝祈願を行い、その後再び京に入り室町幕府を開いた為、現在もお寺には尊氏による書状が残っているそうです。
当時からこの寺名だったということなので創建は鎌倉時代以前の古刹ということになるかと思いますが、正確な年代はわからず…。
またその歴史から、江戸時代には阿波徳島藩主・蜂須賀氏や淡路城主(稲田氏?)も信仰していたそう。本堂の裏にある兵庫県指定名勝の「妙勝寺庭園」はその江戸時代初期に作庭された池泉鑑賞式庭園。境内の斜面を活かし高い石組みを組み、その池泉には鶴島・亀島が浮かぶ蓬莱式の庭園。
また境内にある大クスノキの樹齢6~700年(ということは正に足利尊氏が訪れたか、その後室町幕府を開いた頃)とされ、こちらも兵庫県指定の天然記念物になっています。あわじ花へんろ第8番札所で、春にはソメイヨシノ、八重桜といった桜が楽しむことができます。
またこの寺院も山の中腹にあり(そのため尊氏が船から見つけられたのだとか)、「園城寺庭園」などと同様に最寄バス停からは100m以上も登る……ので、境内からは紀伊水道・紀伊半島の眺望がすばらしい。
…ちなみに境内(というかこの一帯)から眺められる巨大な観音像と「十重の塔」は『平和観音寺』という寺院(観光施設)に建てられたもので、観音像の高さはなんと100m。見るからに不思議な(トンデモな)光景だな〜という感じなのですが(笑)、本当にトンデモな建物として扱われているみたいで現在は管理者不在で廃墟と化しているとのこと…。
そのへんは『【関西の議論】所有者不在で荒れ果て放置される巨大“迷惑観音像”…複雑に絡む権利・法律、倒壊の危険も行政は手を出せず』(産経WEST)といった記事や平和観音寺のWikipedia参照。足利尊氏ゆかりの古刹よりもよっぽど有名だったんですねえ…。
(2019年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)