御船山楽園×チームラボ

Mifuneyama Rakuen Garden (Lightup by Teamlab), Takeo, Saga

江戸時代に佐賀藩家老・武雄鍋島家の別邸に作庭された国登録文化財庭園を舞台にした、クリエティブ集団“チームラボ”による現代の庭園演出/ライトアップ。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

御船山楽園×チームラボ“かみさまがすまう森”“廃墟と遺跡:淋汗茶の湯”について

「御船山楽園」(みふねやまらくえん)は園内に20万本ものツツジの植ったツツジの名所。江戸時代に武雄の領主だった武雄鍋島家(佐賀藩主・鍋島家の家老)の別邸の庭園『萩の尾園』をルーツとし、「旧武雄邑主鍋島氏別邸庭園」として国の登録文化財庭園(登録記念物・名勝地関係)となっています。

近年はクリエイティブ集団・チームラボによる夜間の庭園ライトアップや、隣接する『御船山楽園ホテル』で楽しめるチームラボの作品群も人気。こちらではそんなチームラボとのコラボを中心に紹介。(2024年再訪の際に、2019年以降に新たに追加となった作品を鑑賞したのでその際の写真を追加して紹介。)

>>通常公開時の御船山楽園の写真はこちら。

庭園の歴史について。西九州新幹線・武雄温泉駅からもその姿がのぞめる、武雄市のシンボル的存在「御船山」。その名の由来は古代に神功皇后が新羅へ遠征した帰りに御船をつなぐ場とされたからとか。また奈良時代には名僧・行基も御船山を訪れ、釈迦像三体をはじめ五百羅漢を洞窟に安置したと伝わります。

そんな御船山の麓に、江戸時代後期の1845(弘化2年)から約3年の歳月をかけて造営された武雄領主・鍋島茂義の別邸と庭園『萩の尾園』が御船山楽園の前身。15万坪/約50万平方メートルにも及ぶ広大な園内のうち、当初作庭されたのが門から近くの池泉庭園。鍋島茂義は作庭にあたって京都から狩野派の絵師を招き、デザイン/設計図を描かせたとか。

そして名物の御船山を断崖絶壁を借景としたツツジ群は20万本にも及ぶ色とりどりのツツジや2,000本もある桜は明治時代以降に拡張されたものだそう。3月下旬〜4月上旬には桜、そして4月中旬〜5月上旬?頃までツツジの花を楽しめます。

そんな庭園の歴史に新たに名前を加えつつあるのが「チームラボ」。2015年からチームラボが手掛ける庭園ライトアップイベントを開催。ここでは2018年の『チームラボ かみさまがすまう森』と2020年以降常設展示の『チームラボ 廃墟と遺跡:淋汗茶の湯』を紹介。

■3~5枚目:小舟と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング / Drawing on the Water Surface Created by the Dance of Koi and Boats – Mifuneyama Rakuen Pond
■6枚目:夏桜と夏もみじの呼応する森 / Resonating Forest – Cherry Blossoms and Maple
■7~9枚目:生命は連続する光 – ツツジ谷 / Life is Continuous Light – Azalea Valley、呼応する御船山 – Resonating Mt. Mifuneyama
■10枚目:増殖する生命の巨石 / Ever Blossoming Life Rock
■11枚目:抽象と具象 – 森の入口 / Abstract and Concrete – Forest Entrance
■12枚目:岩割もみじと円相 / Split Rock and Enso
■14枚目:忘れ去られていた地下道の朽ち果てていく場に永遠に憑依する炎 / Universe of Fire Particles in a Decaying Underground Passage
■15〜17枚目:廃墟の湯屋にあるメガリス / Megaliths in the Bath House Ruins
■18枚目:Light Sculpture of Flames
■19枚目:呼応するランプの森とスパイラル – ワンストローク、ツツジ / Forest and Spiral of Resonating Lamps – One Stroke, Azalea

佐賀県内外から多くの人が訪れ、2018年のライトアップには武雄市の人口の約3倍の14.4万人が訪れたそう。またCNN(!)を始めとした海外メディアにも取り上げられることも。昼間にも決して人が少なくない庭園にもかかわらず、それを比にならない来場が夜間にはあり驚きました。
そしてこの様な作品と取り組みによって、「渋い」と思われがちな日本庭園や歴史的スポットが、こうした形で地元含めた広い層に親しまれることはすごく意義があることだなとも感じられます。

なお『御船山楽園』から徒歩5分程の場所には、日本一の庭園『足立美術館庭園』の作者として知られる造園家・中根金作が手がけた庭園『慧洲園』(陽光美術館)があります。そちらでも広大な回遊式庭園を楽しむことができるので、セットで見に訪れて欲しい庭園!

(2018年10月、2024年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR西九州新幹線・佐世保線 武雄温泉駅より徒歩30分
JR武雄温泉駅から路線バス「御船山楽園」バス停下車 徒歩2分

〒843-0022 佐賀県武雄市武雄町大字武雄4100 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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