萬福寺庭園

Manpuku-ji Temple Garden, Masuda, Shimane

南北朝時代の本堂が残る益田屈指の古寺に、水墨画家・雪舟が作庭した“雪舟四大庭園”の一つ。国指定名勝。

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萬福寺庭園について

「清瀧山 浄光院 萬福寺」(まんぷくじ)はJR益田駅から東へ約2.5kmの場所にある寺院。水墨画で有名な室町時代の禅僧・雪舟が作庭された庭園が『万福寺庭園』として国指定名勝および史跡であるほか、室町時代・南北朝時代から残る本堂が国指定重要文化財となっています。日本遺産『中世日本の傑作 益田を味わう -地方の時代に輝き再び-』の構成文化財。

島根県最西の市・益田にはかの“画聖”雪舟等楊の代表作“雪舟四大庭園”のうち2つが残ります。2021年7月、約5年ぶりに益田の雪舟庭園を巡りました!もう一つの『医光寺』とは約500m、徒歩7~8分の距離。

その歴史は古く、平安時代に天台宗の『安福寺』として創建され“益田五福寺”の一つとして並び称されました。その後、遊行上人(=時宗で言うところの法主)四代目の呑海により時宗の益田道場へ改宗。この方、京都・東山の『長楽寺』を建立した僧でもあります。

南北朝時代の1374年(応安7年)に中世の益田を治めた七尾城主・益田兼見により現在の場所に移築され、益田氏の菩提寺となり今日へと至ります。
観光的には庭園の方がフォトジェニック(?)だけど、本堂は庭園より古い時代から残る貴重なもの。幕末の長州征伐の際には益田やこの萬福寺も陣営の一つとなり、その際に総門が焼失してしまったものの、本堂や庫裏/書院は被害を免れました。

本堂・書院の裏に雪舟により作庭された池泉鑑賞式庭園が残ります。これは『医光寺庭園』と同じく1479年(文明11年)に15代目益田城主・益田兼尭に招かれた際に造られたもの。

背後の山の斜面を活かした医光寺庭園とはまた異なり、比較的平坦(背後は緩やかな斜面)な場に築山をもうけた明るい築山泉水式庭園。
仏教の世界観、“須弥山世界”を表現したもので、書院から正面に見た時の頂点に立つ石が須弥山石。心字池を向かって右手側に枯滝石組、そして左手側に注水口や三尊石の姿が見られます。書院手前の平たい岩がこの庭園を拝む為の礼拝石。

とかまあ、仏教の世界に見立てた造形的な庭園ではあるんだけど、個人的にはあまり難しい事を考えずにぼーっと眺めていたいお庭。

近代には文豪・島崎藤村も訪れ自らの著書にその記を残しました。その他にも鎌倉時代の作『絹本著色二河白道図』も国指定重要文化財、県指定文化財となっている仏像・阿弥陀如来立像などを拝観することができます。意外と住宅街の中にある歴史的寺院、末永く地元の方の誇りであって欲しい庭園。

(2014年4月、2016年8月、2021年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山口線・山陰本線 益田駅より徒歩30分(駅にレンタサイクルあり)
益田駅より路線バス「折戸」バス停下車 徒歩3分

〒698-0004 島根県益田市東町25-33 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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