旧齋藤家別邸庭園

Kyu-Saito Villa (Bettei) Garden, Niigata

“新潟三大財閥”齋藤家が大正時代に造営した“庭屋一如”な近代和風建築と国指定文化財庭園。渋沢栄一も懇意にした庭師・二代目松本幾次郎/松本亀吉作庭。

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旧齋藤家別邸/旧齋藤氏別邸庭園について

「旧齋藤家別邸」(きゅうさいとうけべってい)は新潟県新潟市の中心繁華街「古町」からも程近くにある近代のお屋敷と国指定文化財(国指定名勝)の庭園。かつて“新潟三大財閥”に挙げられた実業家・齋藤喜十郎が大正時代に造営した旧別邸で、作庭を手がけた庭師は二代目松本幾次郎松本亀吉(大河ドラマの主人公にもなった渋沢栄一の邸宅の庭園:『旧渋沢庭園』を手掛けた庭師)。日本遺産『荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~』にも構成。
何度も訪れているお庭ですが、2026年年始に再訪したのでその写真を追加して紹介。

「新潟県には、国指定文化財の美しい庭園が多い」。この事はコアな庭園ファンには知られつつありますが、一般の方やライトなファンにはまだあまり知られていないかもしれません。日本一の米どころ&開港5都市:新潟には、江戸時代〜昭和時代まで特に繁栄した豪農・大地主や実業家のお屋敷/庭園が多く残ります。

新潟の国指定文化財庭園の中でも最もアクセスが良いのがこの「旧齋藤家別邸」。新潟駅からは約2.5km程離れていますが、新潟の旧市街「古町」からは徒歩10分弱。実は「政令指定都市のド市街地にある国指定名勝庭園」というのも珍しい…京都や東京23区を除けば。他で言っても岡山『後楽園』、広島『縮景園』、名古屋『名古屋城二之丸庭園』など大名庭園ばかりなので、「お屋敷」系では稀有な例。

江戸時代から新潟の豪商として名を上げ、江戸時代後期〜近代には北前船経営などの海運業・銀行経営などで財を成した齋藤家。この別邸の施主・齋藤喜十郎は衆議院議員/貴族院議員もつとめました。

この別邸が造営されたのは1916年(大正5年)~1918年(大正7年)。元々明治時代にはこの地には「堀田楼」「島清館」という料亭があり、それらに美しい庭園が存在していたそう。その2軒の跡地を喜十郎が取得、元のお庭の一部も活かしつつ、新たにお屋敷・庭園が造営され別邸(迎賓館)として利用されました。(なお「別邸」の通り本邸は別の場所にあり、その一部が現在『白山公園』に移築・公開されています)

昭和時代の戦後に財閥解体が進むと、齋藤家もこのお屋敷を手放すこととなり、その後は新潟発の建設会社『加賀田組』の創業家・加賀田氏の自邸となります。会社経営のみならず、新潟市議会議長も輩出した加賀田家もまたこの場に市民や各会の著名人を招き、その中には川端康成田中角栄の姿も。
平成時代に入るまで加賀田家の邸宅として用いられたのち、2009年に新潟市が公有化。2015年に庭園が国指定名勝となりました。

約1,300坪、およそ4,500平方メートルの敷地の大部分を庭園が占めますが、まずは建物内の見学から。玄関の前から網代網みの戸袋が迎えてくれる通り、各部屋で異なる意匠・技術が楽しめる数寄屋風造りの近代和風建築!船底天井や欄間、建具などなど…特に2階のガラス戸のデザインがめちゃくちゃかっこいい!

そして屋内の主座敷からも眺められる庭園。手前には芝生、その先の庭の中心に池泉、奥(日本海方面)には古くからこの地に堆積していた砂丘の斜面をそのまま活かした築山…といった地形の池泉回遊式庭園。
建物の中から眺めていると、とてもその先が海や住宅街だとは感じられないし、庭園の中で滝や流れを間近で見ていても“自然の中”に居るような気分になれる庭園。そして数多く植栽されたマツやモミジで彩られた“緑”からはここが砂丘だったとは思えない…。

尚、雨天の日やその直後などは「庭園内が滑りやすいため」屋内からの鑑賞のみとなりますが、屋内ではお抹茶などもオーダーしながらゆったりした時間を過ごせます。お庭を歩ける日には、築山の中にあるお茶室「松鼓庵」(裏千家の14代お家元・淡々斎の命名)にも注目!

なお、この旧齋藤家別邸のある「西大畑」界隈は新潟市内の高級住宅地。旧斎藤家の目の前には『北方文化博物館新潟分館』が、そして日本海方面には旧市長公舎『安吾風の館』や日本銀行新潟支店長役宅『砂丘館』なども残り、公開されています。先述の『白山公園』とともにあわせてチェック!

(2015年9月、2016年4月、2017年11月、2021年11月、2026年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR上越新幹線 新潟駅より約2.5km(徒歩30分)*新潟市内各所にレンタサイクルあり
新潟駅より路線バスで「北方文化博物館新潟分館入口」バス停下車 徒歩2分/「古町」バス停下車 徒歩10分

〒951-8104 新潟県新潟市中央区西大畑町576 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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