出羽国大名・最上義光の菩提寺に残る、江戸時代初期に作庭された遠州流庭園。山形市指定名勝。
光禅寺庭園について
「光禅寺」(こうぜんじ)は出羽国の大名・最上義光によって創建された寺院で、最上家11代・義光〜13代・義俊の3代の菩提寺。境内には最上義光の墓所や、山形市指定名勝の池泉鑑賞式庭園があります。2018年の秋に初めて訪れて、2019年5月に再訪!
桃山時代の慶長年間(1596年頃)、最上義光が春林禅冬和尚を招いて創建した寺院で、最上家の後に山形城主となった鳥居忠政により現在地に移転。
明治時代に大火にて多くの建物を消失したため、現在の本堂はそれ以降(大正時代)に再建されたもの。大火を免れた鐘楼の梵鐘は京都三条の釜座(刀工?)・藤原国次によって造られた江戸時代初期の作とされます。
本堂裏には山形市指定名勝の遠州流“心字池”庭園があります。江戸初期に作庭されたもの(現在地に移転したタイミング?)で、山形県内で最も古い庭園の一つと言われます。同じ山形市内の『もみじ公園』も江戸時代初期の作庭と言われますが、鳥居忠政より後の松平家が大名になって以降のものなので、この庭園はそれよりは先に完成していたということになる。
横に長い林泉庭園で、かつては建物の座敷から眺める鑑賞式庭園だったとのこと。鑑賞式と言うには池が大きいので、山形藩の中でもかなり格式のあるお寺だったことが伝わります。現在は池泉に沿って見学路があって、見る場所によって変わる風景を楽む回遊式庭園感もある。
以前は池に水が入っていたようですが現在は抜かれていますーーが、2019年に再訪した時は雨の翌日で水が残っていたので、6月に訪れたら池に水が溜まった風景が見られるかも。
池の中には石組とツツジ・サツキの刈込を中心に複数の島を造っていてーー作風としてなんとなく会津若松の『白露庭』を思い出す。会津〜出羽の遠州流の作風がこんな感じだったのかな。
現在は背後の木が高くなっていて借景などは見えませんが、本来はその先に山の借景が見られたのだとか――周囲は住宅街でもあるので景観的にその風景が見られることはもう無いかもしれないけど、美しかっただろうなあ。陽の当たり具合によって紅葉ももう少しきれいに映えそう。
…「こうぜんじ」(光禅寺、光前寺、興禅寺)とか「こうみょうじ」(光明寺、光明禅寺、光明院)というお寺さんは良い庭園がありがち、説。
(2018年11月、2019年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR山形新幹線 山形駅より徒歩20分強 ※春~10月まで観光案内所にレンタサイクルあり
山形駅より路線バス「六小前」バス停下車 徒歩5分
〒990-2492 山形県山形市鉄砲町2丁目5-7 MAP