吉村順三設計の美術館に、昭和を代表する作庭家・重森三玲が信州の山の稜線にならい作庭した石組/築山がユニークな枯山水庭園。2019年に4年ぶりに開館!
北野美術館について
「北野美術館」(きたのびじゅつかん)は長野市の郊外、かつて長野電鉄屋代線の沿線にある私設美術館で、美術館の設計は昭和を代表する建築家のひとりとして知られる吉村順三。前庭である枯山水庭園は昭和を代表する作庭家・重森三玲により昭和40年(1965年)に作庭されたもの。また
数年前に知った時にはちょうど休館期間だったのですが、4年間の休館を経て2019年から再オープン。早速初めて訪れました!
まずは庭園について。重森三玲が手掛けた枯山水庭園は、氏が海のない信州を思って海の風景を表したもの。
“この庭園らしさ”が最も現れているのが、石組と築山を借景となっている山の稜線にならって構成されていること!宗教的な表現がされる寺社仏閣の庭園にはない、とても自由で伸びやかな印象を受ける庭園です。同じく長野県にある木曽の「興禅寺庭園」とはまた全く違う世界観。
改修前に訪れた人によるとこの築山・石組の周辺も少し荒れていたようですが、現在は改修を経てスッキリ。過去の写真と見比べると当初は築山は苔が生え茂っていたみたい。その姿も見てみたかったなあ。そして作庭当初は周囲の2階建家屋は少なかったのかもしれませんね…。
※なお館内は撮影禁止ですが、12枚目の写真は階段の途中から庭園を撮る許可を得たものです。
そして美術館について。北野美術館の「北野」は大手建設会社「北野建設」(スキーのオリンピック選手が多く所属することでも有名)の創業家のこと。北野家がコレクションした美術品を所蔵・公開するために昭和の中ごろに開館。現在では長野市戸隠に「北野美術館戸隠館」と、長野市の街中に「北野カルチュラルセンター」もあります。そしてこの本館には湯島天満宮の大きな社殿を併設。
今回訪れた際に開催されていた『北野美術館 名品展』では国の重要美術品である円山応挙の『中寿老左右鴛鴦鴨』や藤原行成による平安時代の書『伊豫切』を始めとして、川合玉堂、横山大観、橋本関雪、橋本雅邦…といった(これまで庭園を見た先々でも作品を見てきた)日本画家の作品や、ピカソ、シャガール、ベルナール・ビュッフェ、マリー・ローランサンといった有名な洋画家の作品、そして長野ゆかりの真田幸貫の鎧兜、中島千波の作品まで幅広い作品が展示されていました。古代イタリア象牙彫もすごかった。
中でも印象に残ったのは上村松園の「風」だったのですが、美術館の公式Facebookのアイコンになってた。鮮やかな青が美しい絵画だったので超納得!
近年はその庭園の価値を広めるため、美術館利用者に「砂紋」引きを体験してもらうイベント等も開催。また長野県行く際には立ち寄りたい美術館。美術館の近くに停まるバスも日中は1〜1.5時間に1本程はあります。時間が空いてしまった場合は松代側に徒歩30分程の場所にある旧川田宿の古い町並みまで歩いてみても面白いかも…?
(2019年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
長野電鉄長野線 須坂駅より約7km(駅周辺にレンタサイクルあり)
須坂駅より路線バス・屋代須坂線「北野美術館」バス停下車 徒歩3分
JR北陸新幹線 長野駅より路線バス「若穂支所」バス停下車 徒歩8分/「綿内駅」バス停下車 徒歩15分
〒381-0101 長野県長野市若穂綿内7963-2 MAP