
三国志の英雄・諸葛亮の“八陣法”をモチーフとした石庭は、重森三玲が作庭した代表作の一つ。国指定名勝。
岸和田城庭園“八陣の庭”について
「岸和田城」(きしわだじょう)は古くは南北朝時代からの歴史を持ち、戦国時代〜桃山時代には織田信長や豊臣秀吉が紀州征伐の際に入城した城郭。その本丸跡に重森三玲に作庭された石庭“八陣の庭”(はちじんのにわ)は2014年に国指定名勝に選定。『三国志』の英雄・諸葛孔明の《八陣法》をモチーフとした、重森三玲の作品の中でももっとも“現代アート”風に感じられる庭園。2019年夏に再訪したのでその時の写真を追加しました。
戦国時代には和泉国守護・細川家や阿波国から中央に進出した三好長慶などの三好家、そして前述の信長なども戦の拠点とした城下町・岸和田。豊臣秀吉によって紀州の根来衆・雑賀衆・粉河衆の一揆が治められたのちに天守が築城。江戸時代は(現)静岡県岡部町が発祥の武将・岡部宣勝以降、13代、約230年に渡り岡部家が岸和田城主をつとめました。
その城郭は当時は5層の天守閣をほこったそうですが、江戸時代末期の1827年に落雷で焼失。現在博物館として利用されている天守は1954年(昭和29年)に再建されたもの。当日から残る遺構は石垣と濠ぐらいだそうですが、大阪府指定史跡となっています。続日本100名城にも選定。
そして“八陣の庭”について。天守再建とほぼ時を同じくして、1953年(昭和28年)に重森三玲により作庭されました。同年には現『重森三玲庭園美術館』の無字庵を手掛けています。重森三玲の庭園としては『東福寺方丈庭園』に次いで国の文化財に指定されたことや、氏の唯一城郭に造った庭園という規模からも、重森三玲の代表作――の一つ。
再建される天守閣からの俯瞰の眺望を意識してデザインされており、中央の“大将”の石組を中心に、天陣・地陣・竜神・虎陣・風陣・雲陣・鳥陣・蛇陣をそれぞれ周囲に配した枯山水庭園。城郭を借景とする形で平面から360度に回遊して鑑賞していても変わる庭園の姿が楽しい。
今回訪れたのは前回訪れた2017年2月ぶりに関空へ降り立ったため。関西国際空港から最も近い国指定名勝の日本庭園でもある。海外から訪れるアート好きに出会ってほしい枯山水庭園。あと前回の写真と見比べると今回の方が砂紋が消えかかっていたので…砂紋引くタイミング知りたいな〜!
(2014年9月、2017年2月、2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
南海本線 岸和田駅より徒歩15分弱
南海本線 蛸地蔵駅より徒歩6分
岸和田駅より周遊バス「市役所前」バス停下車 徒歩4分
〒596-0073 大阪府岸和田市岸城町9-1 MAP