頼山陽この絶景庭園に出会っていたらどんな顔するだろう—“耶馬渓六十六景”に囲まれ、雑誌の“日本の庭園100選”にも選定された昭和の名日本庭園。
耶馬溪ダム記念公園「渓石園」について
「溪石園」(けいせきえん)こと『耶馬溪ダム記念公園』は1985年(昭和60年)に完成の「耶馬溪ダム」の竣工を記念してその2年後の1987年(昭和62年)に作庭された日本庭園。“耶馬渓六十六景”の山々を借景とした広大な日本庭園は、有名出版社の雑誌の“日本の庭園100選”にも選定されました。
“日本新三景”“日本三大奇勝”等に名の挙げられる九州を代表する絶景『耶馬渓』。福岡県と大分県の県境にある霊山『英彦山』から発し、中津市の市街地の西部から周防灘へと流れ出る一級河川「山国川」の上流~中流エリアで続く奇石・断崖絶壁・岩窟のある渓谷の風景が国指定文化財(国指定名勝)にも選ばれています。
そんな耶馬溪の観光拠点のひとつ、耶馬溪サイクリングターミナルからも程近くにあるのがこの庭園。下段部/上段部とそれぞれ大きな池泉と滝のある、二段構えの広大な池泉回遊式庭園。
約2万平方メートルの敷地に、耶馬溪ダムの建設のために採掘された12万個の石が活用され、また耶馬溪ダムから引かれた水による迫力のある滝と池泉の流れの美しい庭園が鑑賞できます。50種類、2万本以上という樹木は春には桜が、そして秋には紅葉の名所としてライトアップも。
広くて美しい庭園——というのはこの庭園に限った話ではないですが、この庭園随一のポイントが“国指定名勝の借景”。国指定名勝・耶馬溪には“耶馬渓六十六景”と呼ばれる絶景/ビューポイントが設定されていますが、そのうち「木ノ子岳の景」「山瀬の景」が背後に、そして「祇園洞の景」もこの庭園の付近に位置し、文化財的価値のある山々が借景となっています。
“耶馬溪”の名の由来を謳った江戸時代の代表的な儒学者・頼山陽。その父・頼春水は広島の大名庭園『縮景園』で“三十四景”を定めました。頼山陽がいまこの庭園に出会ったら、きっと庭園の中に十数の景を定めるのだろうなぁ。
昭和の最後に作られた比較的新しい庭園ながら、雑誌の“日本の庭園100選”にも選定——それも納得!!!な九州屈指の素晴らしい庭園。園内には庭園を眺められるお蕎麦屋さん『「腸活そば屋」渓石園』も。耶馬溪観光の際はぜひ立ち寄って。
(2023年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR日豊本線 中津駅から路線バス「耶馬渓中学校前」バス停下車 徒歩8分/耶馬溪サイクリングターミナルより徒歩9分
〒871-0431 大分県中津市耶馬溪町大字大島2286-1 MAP