“日本庭園の最高傑作”の名高い京都を代表する庭園は秋は紅葉の穴場?当日受付で、順路後半は紅葉林も。
桂離宮庭園について
【要事前予約】
「桂離宮」(かつらりきゅう)は『日本庭園の最高傑作』の名高い、江戸時代初期に皇族・八条宮家の別邸として造営された離宮。
広大な池泉回遊式庭園の作庭者は江戸初期を代表する作庭家・小堀遠州に師事した玉淵坊と推定されています。玉淵坊。あまり頻繁に名前の挙がる作庭家ではありませんが、国指定名勝の庭園『桂春院庭園』や徳川家とゆかり深い国宝寺院の『知恩寺方丈庭園』を手掛けている人物。
これまで春と夏と2度訪れていましたが(こちら)、2019年は初めて秋に訪れました!一ヶ月前の段階で予約がいっぱいで当日受付も出なかった修学院離宮と比較して、(自分は事前予約で訪れたけど)11月下旬の平日で当日受付枠が若干あった。『桂離宮の紅葉』は意外と秋の京都の穴場?
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郵送またはインターネットでの事前予約制の桂離宮ですが、
■京都の場合は京都御苑内の宮内庁事務所で対面で予約可能
■枠に空きがある場合は当日受付も可能
となっています。詳しい方法は宮内庁の公式サイトにて。これまで3度訪れましたが、2回が事務所での受付、もう1回は当日受付でした(午前に受付をして、見学は14時30分の回でした)。約1時間かけて宮内庁のガイドさんとともに庭園を回遊します。
2018年より有料(1,000円)となりましたが、むしろそれまで無料だったのがサービス精神が過ぎる、“日本庭園の最高傑作”を1,000円そこらで見られるのであれば安すぎませんか?どうやって調べたのか、大体毎回外国人の見学者も数名いらっしゃいます。
その歴史は江戸時代初期。1616年(元名2年)頃に後陽成天皇の弟・八条宮の初代、八条宮智仁親王によって“桂山荘”が造営されました。現存する(順路終盤の)“古書院”がそれにあたります。
その後、八条家二代目・八条宮智忠親王によって1662年(寛文2年)頃までに現在の池泉回遊式庭園と現在も残る各建築が造営。『修学院離宮』を作庭した後水尾上皇もお忍びで訪れていたそう。
最高傑作と言われるゆえんは、
■その園路を歩く度に常に景色が移り変わり続ける点
■海(州浜)、山、谷、野ーーと様々な風景が庭園の中で表現されている点
など色々あり、Wikipediaでも詳しく解説されているし宮内庁が販売している『桂離宮ポケットガイド』でも写真付きで詳しく説明されています。
でもドイツから招かれた建築家ブルーノ・タウトが《桂では目が考える》と称した通り、文章よりも実際に歩いてみる体験が一番!少しだけスポットごとに説明…。
順路前半・松琴軒まではこちら。
■賞花亭(3枚目)
桂離宮で最も標高が高い築山の上にある茶屋風の休憩所(四阿)。この周辺からの、北山の風景を含めた日本庭園の風景が美しい。
■園林堂周辺(6・7枚目)
園林堂は桂宮家や、初代・八条宮智仁親王に古今伝授をした細川幽斎がまつられているそう。唐破風の外観もかっこいいのですが、それ以上に惹かれるのは足元!真四角の切石による飛び石と、お堂の周辺を直線的に取り囲む“雨落石”。この辺のデザインも江戸時代の作とは思えない、とてもモダンなもの。
■笑意軒(9〜12枚目)
前回訪れた2017年は修理中で見られなかったお茶室。ここも足元の延段がおしゃれだし、表面の造形ーー6つの小さな円を描いたデザインや室内の金箔がかなり鋭い平行四辺形になっているところがこれまた“江戸時代の伝統的なデザイン”とはまた一線を画している感じがする。
■モミジ林(13・16枚目)
書院へと向かう道中、秋には真っ赤に染まったモミジ林を通過します。ここのみならず、橋の周辺などなどこんなに紅葉が多い庭園だったんだ!って秋に行って改めて気づいた。
■書院(17〜19枚目)
通常の観覧では外観を眺めるのみですが、書院内部には狩野派・狩野探幽らによる障壁画が描かれているそうです。写真集に載っている新御殿の上段の間のデザインもとてもおしゃれ。江戸時代初期の段階で、その後明治・大正の近代和風建築で表現されているような表現がなされている。
■月波楼(21・22枚目)
順路の終盤、池泉のほとりに建つ茶亭。中に上がることはできませんが、その池泉庭園を上段から眺めることができる、最高に贅沢な座敷。
■御輿寄(23・24枚目)
そして順路の最後が書院への入口の中門〜御輿寄へと至ります。最後の最後まで、たった数歩の違いでも“大事な風景を、見せる・見せない”の工夫がなされているのが桂離宮の凝りに凝ったランドスケープデザイン。
より詳しい考察は様々な学術的な論文が発表されているのでそれを参照してみて。昭和を代表する庭園研究家・森蘊も深く研究に携わり、そして伝統建築の第一人者といわれた安井清さん、氏が在籍した京都を代表する数寄屋大工・安井杢工務店により昭和の大修理も行われるなど、日本の和の匠たちが現在も携わり続ける日本伝統文化の結晶ーーとも言える場所です。
それを思えば1,000円足らずではなくもっと価値のある庭園!
(2019年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
阪急京都線 桂駅より徒歩13分
京都駅より路線バス「桂離宮前」バス停下車 徒歩5分
地下鉄 太秦天神川駅より路線バス「中桂」バス停下車 徒歩3分
〒615-8014 京都府京都市西京区桂御園 MAP