
“日本庭園の最高傑作”と言われる、江戸時代に作庭された京都を代表する皇族庭園。要事前予約ですが当日受付も。
桂離宮について
【要事前予約】
「桂離宮」(かつらりきゅう)は『日本庭園の最高傑作』の名高い、江戸時代初期に皇族・八条宮家の別邸として造営された離宮。
広大な池泉回遊式庭園の作庭者は江戸初期を代表する作庭家・小堀遠州に師事した玉淵坊と推定されています。玉淵坊。あまり頻繁に名前の挙がる作庭家ではありませんが、国指定名勝の庭園『桂春院庭園』や徳川家とゆかり深い国宝寺院の『知恩寺方丈庭園』を手掛けている人物。
郵送またはインターネットでの事前予約制の桂離宮ですが、
■京都の場合は京都御苑内の宮内庁事務所で対面で予約可能
■枠に空きがある場合は当日受付も可能
となっています。詳しい方法は宮内庁の公式サイトにて。これまで3度訪れましたが、2回が事務所での受付、もう1回は当日受付でした(午前に受付をして、見学は14時30分の回でした)。約1時間かけて宮内庁のガイドさんとともに庭園を回遊します。
2018年より有料(1,000円)となりましたが、むしろそれまで無料だったのがサービス精神が過ぎる、“日本庭園の最高傑作”を1,000円そこらで見られるのであれば安すぎませんか?どうやって調べたのか、大体毎回外国人の見学者も数名いらっしゃいます。
その歴史は江戸時代初期。1616年(元名2年)頃に後陽成天皇の弟・八条宮の初代、八条宮智仁親王によって“桂山荘”が造営されました。現存する(順路終盤の)“古書院”がそれにあたります。
その後、八条家二代目・八条宮智忠親王によって1662年(寛文2年)頃までに現在の池泉回遊式庭園と現在も残る各建築が造営。『修学院離宮』を作庭した後水尾上皇もお忍びで訪れていたそう。
最高傑作と言われるゆえんは、
■その園路を歩く度に常に景色が移り変わり続ける点
■海(州浜)、山、谷、野ーーと様々な風景が庭園の中で表現されている点
など色々あり、Wikipediaでも詳しく解説されているし宮内庁が販売している『桂離宮ポケットガイド』でも写真付きで詳しく説明されています。
でもドイツから招かれた建築家ブルーノ・タウトが《桂では目が考える》と称した通り、文章よりも実際に歩いてみる体験が一番!少しだけスポットごとに説明…。
■松琴亭(5・6・8枚目)
順路の前半の目玉。桂離宮の中で最も格式が高いと言われる茅葺屋根のお茶室です。その青と白の市松模様の床の間と襖が今の時代であってもモダン。
■松琴亭付近からの眺め(7・9枚目)
池の遠く向こうに嵐山の風景が目に入ってきます。この角度ではないけれど、桂離宮は周囲の農地7,000平方メートルを買い上げ景観維持につとめています。この風景の先に高層ビルやタワマンが入る未来は無いことを願います。
■賞花亭(14枚目)
桂離宮で最も標高が高い築山の上にある茶屋風の休憩所(四阿)。ここへ至る途中までも北山の風景を含めた日本庭園の風景が美しい。
■書院(19枚目)
通常の観覧では外観を眺めるのみですが、書院内部には狩野派・狩野探幽らによる障壁画が描かれているそうです。写真集に載っている新御殿の上段の間のデザインもとてもおしゃれ。江戸時代初期の段階で、その後明治・大正の近代和風建築で表現されているような表現がなされている。
■月波楼(21枚目)
順路の終盤、池泉のほとりに建つ茶亭。中に上がることはできませんが、その池泉庭園を上段から眺めることができる、最高に贅沢な座敷。
またより詳しい考察は様々な学術的な論文が発表されているのでそれを参照してみて。昭和を代表する庭園研究家・森蘊も深く研究に携わり、そして伝統建築の第一人者といわれた安井清さん、氏が在籍した京都を代表する数寄屋大工・安井杢工務店により昭和の大修理も行われるなど、日本の和の匠たちが現在も携わり続ける日本伝統文化の結晶ーーとも言える場所です。
それを思えば1,000円足らずではなくもっと価値のある庭園!
(2013年3月、2017年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
阪急京都線 桂駅より徒歩13分
京都駅より路線バス「桂離宮前」バス停下車 徒歩5分
地下鉄 太秦天神川駅より路線バス「中桂」バス停下車 徒歩3分
〒615-8014 京都府京都市西京区桂御園 MAP