世界遺産寺院「東寺」の子院に残る国宝の客殿と、その前に広がる現代の枯山水庭園。宮本武蔵の描いた襖絵も。
東寺塔頭 観智院庭園について
「観智院」(かんちいん)は世界遺産「古都京都の文化財」に構成されている京都を代表する寺院の一つ『東寺』の塔頭寺院。江戸時代の初めに建立された「観智院客殿」は国宝となっています。
観智院は室町時代に東寺に帰依された後宇多天皇の勅願により建立。創建当初より東寺の勧学院(大学の研究室のようなところ…とのこと)であり、開基である僧・杲宝(ごうほう)も東寺の学僧でした。その後杲宝は『東宝記』という東寺の創建から室町時代までの寺史を制作(こちらも国宝で、東寺が所蔵)。現在の観智院は真言宗全体の勧学院という立場となり(確かに受付の人も若かったなあ)、東寺の塔頭寺院としては最も格式が高いと言われます。
国宝の「観智院客殿」は1605年の建立。入母屋造、こけら葺の書院造り建築は桃山時代までの建造物の特徴が現れているとされ、その内部には宮本武蔵による筆と伝わる襖絵『鷲の図』『竹林の図』があります(※なお庭は撮影可能だけど建物内は撮影不可)。その他の建築も江戸時代のものが中心。
その客殿の前に広がる枯山水庭園は『涅槃禄の庭―長者の庭』と言われ、近年(2017年)に真言宗の1200周年の事業として新たに作庭されたもの。作庭を手掛けたのは京都・伏見の造園会社、山田造園さん。山田造園さんのサイトでの紹介では亀島の向こうに見える門を開いた際の写真が載っています。
なお以前は「五大の庭」という別の枯山水庭園があったそうで、Wikipediaにはその写真が載っています。その頃は通常非公開(時々特別公開)だったようですが、現在は常時公開になったようです。五大の庭も観てみたかったなあ…。なお4〜5枚目の中庭は安土桃山時代の作庭と言われる『四方正面の庭』。
その他にも庭園の奥にある茶室「楓泉観」には露地庭や狩野派による襖絵、明治時代に山階宮晃親王が描いた扁額があり、本堂では国指定重要文化財の御本尊『五大虚空菩薩』も見所――なのですが、2019年春に東京国立博物館で開催された『東寺』展への出展のため今回訪れた時には観られず…。
別途この春にトーハクにも行ったけど、東寺展の並びを見たらスゴかったのでそこで見るでもなかったので…また京都へ訪れた際に拝観したい。
(2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)