金沢市老舗記念館

Kanazawa Shinise Memorial Hall, Kanazawa, Ishikawa

加賀藩の御殿薬も処方した薬種商“中屋家”が明治天皇の行在所とともに建築した邸宅。回遊式の町家庭園も。

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金沢市老舗記念館について

「金沢市老舗記念館」(かなざわししにせきねんかん)は金沢市内の主要観光地の一つ・長町武家屋敷跡の一帯にある公開町家。武家屋敷ではなく加賀藩時代から薬種商の邸宅。この地に移築されたのも1988年(平成元年)と現代に入ってからのことですが、その屋敷を囲むように回遊式の和風庭園があります。『武家屋敷跡 野村家』から犀川へと向かう大野庄用水沿いの道、何度も通ってたつもりだったのにこれまでこの施設に目が行ってなかった…2020年9月に初訪問。

この立派な町家は元々は戦国時代の1579年に創業した薬種商“中屋薬舗”の店舗兼住居だった建物。中屋家は元々は京都の出身で、室町時代から加賀国へと移り住みました。江戸時代には藩主へ献上する御殿薬の処方などもする格式高い商家となり、現在残る建築は1878年(明治11年)に明治天皇行幸の際に御在所とともに建築されたもの。

昭和の末期に建物と中屋家に伝わる各種史料・用具が金沢市に寄贈。その史料・用具は「金沢の売薬製造・販売用具」として国登録有形民俗文化財となっておりその一部も建物とあわせ公開されています。そして2階には金沢の老舗による「金澤老舗百年會」の協力により、各店舗に伝わる歴史的アイテムも展示。昼ドラにもなっていた「花嫁のれん」も。

当時の雰囲気が伝わる店舗部分(店の間)〜プライベートスペースである座敷・書院・茶室とそれらから眺める庭園が見学できますが、明治天皇の行在所だったと考えると当時はもっと大きい建物だったのかもな〜。
中でも茶室について。金沢の格式の高い商家には決まって茶室が設けられていたそうで(『寺島蔵人邸』にもあったなあそういえば)、中屋とは別の薬商「宮竹屋」には“奥の細道”の道中の松尾芭蕉が立ち寄り、茶事を楽しんだとか。

庭園は平成元年のオープンにあわせて作庭されたものだそうですが、立派な庭石もあったりするので元の邸宅に使われていたものも一部引き継いでいるのかも。きれいにお手入れされたサツキやツツジの刈り込みも春や秋にはカラフルになるんだろう。また旅行の際に立ち寄りたい。

(2020年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR北陸新幹線 金沢駅より2km弱(徒歩25分弱。市内各地にレンタサイクルあり)
金沢駅より路線バス「香林坊」バス停下車徒歩6分
観光周遊バス「老舗記念館」バス停下車すぐ

〒920-0865 石川県金沢市長町2丁目2-45 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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