“蔵のまち”喜多方随一の蔵造り商家に、二代目松本幾次郎・松本亀吉が作庭した庭園。国登録有形文化財。
旧甲斐家庭園(甲斐本家蔵座敷)について
「旧甲斐家蔵住宅」(きゅうかいけくらじゅうたく)は蔵造り商家の町並みが残る“蔵のまち”喜多方市で随一の豪華な黒漆喰の蔵座敷。近年喜多方市の所有となり、2017年より公開。公開されている蔵座敷のほか、店蔵、現在はギャラリーとして利用されている醤油蔵が国登録有形文化財となっています。(追記:2021年7月に主屋なども国登録有形文化財に答申されました。)
甲斐家は江戸時代の元禄年間に信州より移り住んだのが始まりとのこと。登録有形文化財の建築はいずれも大正時代に建てられたもので、四代目・甲斐吉五郎が棟梁・宇佐美興四郎と共に京都〜北海道を旅しながら名家を見て回った上で設計施工。建物内は見学しなかった(できなかったんだっけ…)けど、中の意匠も素晴らしいそうで、現在の貨幣価値で5億円を投じたという豪邸。
またお庭から眺められる範囲では店蔵と座敷蔵の間に西洋風な内装の応接室があり、以前は「烏城洋室」と呼ばれる喫茶室として使用されていたそう。
そして重厚な煉瓦の塀と座敷蔵の間に池泉回遊式庭園があります。各建造物と同じく大正時代に作庭されたもので、手掛けたのは庭師・松本亀吉――庭園を見てる時は知らなかったけど、今リーフレット見ながら書いていたらそうあった!リーフレットでは庭園についてあまり触れられていないので補足すると――2代目松本幾次郎・松本亀吉は東京の『渋沢栄一邸庭園』や、新潟の国指定名勝『旧齋藤家別邸庭園』を手掛けた作庭家。
氏の生年と建物の完成年度を考えると晩年の作品で、池泉の規模はものすごい大きいというわけではないけど石材は主に東京方面から搬入されたとあり、築山や護岸に重厚で大きな岩が用いられているところからは甲斐本家の影響力、格式の高さを感じます。周辺に植わっているツツジ類がGWではまだ見頃に早かったけど――写真で見ると秋にはドウダンツツジがきれい!
会津地方への旅行の際、会津若松はこれまで何度か訪れていましたが、喜多方へ訪れたのは今回が初めて(喜多方ラーメンは大好きで都内の坂内や小法師には良く足を運んでいるのだけど(笑))。今回喜多方へ行こうと思った目的は庭園より先に、2018年に国の重要伝統的建造物群保存地区となった『喜多方市小田付』の町並みだったのですが、この甲斐本家に庭園がある――ということだけは事前に把握していて足を運んだという感じだった。
さくっとググった限り、松本亀吉がこの庭園を手掛けていたという情報はネットでは初出かも。足繁く観光するのって大事だなーなんて思う!
(2019年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR磐越西線 喜多方駅より徒歩20分(駅周辺にレンタサイクルあり)
喜多方駅・会津若松駅などより路線バス「新町」バス停下車 徒歩5分
〒966-0819 福島県喜多方市一丁目4611 MAP