『御薬園』の作者・目黒浄定が残した“会津三名園”の一つ。アート・ギャラリーの蔵は国登録有形文化財。
可月亭庭園美術館について
「可月亭庭園美術館」(かげつていていえんびじゅつかん)は江戸時代から続く酒蔵『鍋三本店』(旧星野家)の庭園と土蔵を整備・改装し、2018年にオープンした庭園美術館。昭和初期に造られた客座敷と土蔵は国登録有形文化財、そして庭園は会津若松の国指定名勝『御薬園(会津松平氏庭園)』と同じ、目黒浄定による作庭と伝わります。
2019年のGW、約1年半ぶりに会津若松を訪れました!この庭園は前回訪れた直後に存在を知って――その時はまだオープン直前で見られなかったのだけど、それ以来ずっと来たかった庭園。
西若松駅から近いけれど只見線の本数が少ないので――距離でいうと『鶴ケ城』から2km強、会津若松駅や『御薬園』からは3.5kmといった感じの距離感なので、レンタサイクルは割と便利。GWの会津若松はどこへ行っても人が多かったけれど、可月亭はまだあまり知られていないようで――自分が訪れた時間は庭園独り占め。主要観光コースからは少し外れているけれど、庭園とアートとカフェを一緒に楽しめるしオススメしたい庭園!
この可月亭、リーフレット以上に公式サイトでの庭園の説明がめちゃくちゃ詳細。なので詳しくはそちらを見ていただくとして以下は概要のみ。
作庭者の目黒浄定は江戸幕府のお抱え庭師であったとされ、小堀遠州の弟子?(遠州流の系統?)であるとも。五代目会津藩主・松平容頌に招かれ『御薬園』を作庭した際にこちらの庭園も併せて作庭したとのこと。2つの築山を中心に構成された池泉回遊式庭園で、歩いてみるとたしかに御薬園と雰囲気が似ている。今回訪れた時には枝垂れ桜もとてもきれいだった!
この地は戦国時代には会津城主・蘆名氏の家老屋敷があったとされ、その後蘆名家時代には武将として家臣を務めていた星野家がこの地で商人としての生活を始めたそう。当時の会津藩では豪商・豪農であってもこのような庭園の造営が認められなかったものの、星野家は天災・飢饉・凶作などの際に私財を投げ売ってその土地の住民の生活を救っていたそうで、そのような貢献の見返りとしてこの庭園が造園されたそう。そして容頌公は鷹狩の際にこちらの庭園にも立ち寄り、感嘆の声を挙げられたと言われます。
文化財の名にもなっている“旧鍋三本店”という名は、星野家の当主がこの頃名乗っていた“鍋屋三郎治”という名から来ています。現在、可月亭庭園美術館のギャラリーで展示されている絵画・アート作品も星野家ゆかりの日本画家や星野家のコレクションが中心のようで、自分が訪れた際にはレオナール・フジタの絵画などもありました。それら含めてとても良い空間だったので――会津若松に訪れた際には毎回足を運びたい庭園!
(2019年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)