南北朝時代に宗鏡禅師が作庭した、管領・細川頼之好みの苔の美しい枯山水庭園“十六羅漢の庭”。京都市指定文化財。
地蔵院(竹の寺)庭園“十六羅漢の庭”について
「衣笠山 地蔵院」(じぞういん)は世界遺産寺院の“苔寺”こと『西芳寺』から徒歩5分程の場所にある、通称“竹の寺”。苔寺と同じく開山が夢窓疎石(夢窓国師)の臨済宗寺院で、南北朝時代の管領・細川頼之好みの庭園“十六羅漢の庭”が京都市指定名勝となっています。また一休さんこと一休宗純禅師が幼少期を過ごしたお寺でもある。
ずっと行きたいと思いながら行けていなかった“竹の寺”。2021年6月に苔寺に行く流れで初めて拝観!
かつて鎌倉時代に歌人で内大臣だった衣笠家良(藤原家良)の山荘(別荘)があった地に、南北朝時代の1367年(貞治6年)に管領・細川頼之が夢窓疎石の高弟・宗鏡禅師(碧潭周皎)を招いて創建。
以来管領・細川家に庇護された上に北朝系の天皇の勅願寺にもなり20以上の末寺を抱え興隆するも、応仁の乱で伽藍の大部分を焼失/荒廃。
江戸時代初期の1686年(貞享3年)に現在も残る方丈(京都市指定文化財)が再建、境内も整えられ現代へと至ります。細川家ゆかりの寺院ということで細川護煕元首相から自身が描いた襖絵“瀟湘八景の図”が奉納・方丈で展示されています。(その他の作品“瀑布図”“海南行”も特別公開)
方丈に面する苔庭が“十六羅漢の庭”。方丈が江戸時代初期から明治時代にかけて増改築されているため作庭者/作庭年代は史料上は不明だそうですが、寺伝では創建当初に宗鏡禅師によって作庭された細川頼之遺愛の庭園。
一面の苔の中に修行する羅漢に見立てた十六の小岩が配された平庭式枯山水庭園。またその周囲にはマツや椿、モミジの姿も。マツ以上に存在感のある椿が主木なのかな、初春には落椿の姿も美しそう。
庭園のほかにも竹林や苔などで境内は緑色に包まれていて、境内には“地蔵院十境”という景勝地が伝わります。そして境内全体が京都市の文化財環境保全地区。心を落ち着かせてくれる、京都らしい空間。
(2021年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)