十朋亭維新館庭園

Jippo-tei Ishinkan Garden, Yamaguchi

山口観光の新名所。幕末・維新の志士を支えた豪商・萬代家の数寄屋風建築から眺める庭園。山口市指定史跡。

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十朋亭維新館・旧萬代家住宅について

「十朋亭維新館」(じっぽうていいしんかん)は“西の京”山口のかつての中心・国指定史跡『大内氏館跡』からも程近く“萩往還”沿いにある歴史ミュージアム。幕末の志士/長州藩士に関する展示が見られる本館、志士が出入りしていた山口市指定史跡“十朋亭”、そして『萬代家主屋』では素敵な庭園が見られます。

2021年7月に訪れる直前ぐらいにインスタで見て「こんな施設あったっけ」と思ったんだけど、開館したのが2018年9月。なるほど、前回山口市に行った時はまだ開館してなかったのか。
施設の主旨としては維新の志士にまつわる展示がメイン、パンフレットでも萬代家の説明は最後、みたいな流れなんだけど、後付けにするには勿体ない庭園なので萬代家の話から。

江戸時代からこの地で代々醤油醸造業を営み“醤油屋頭取”などもつとめた豪商・萬代家。幕末に藩主・毛利敬親が“山口移鎮”で長州藩の政庁を萩から山口へと移すと、萬代家の離れだった“十朋亭”は藩の役人を始めとする長州藩士の宿泊所となりました。

当時の当主・萬代利兵衛も藩士の活動を支援し、桂小五郎高杉晋作久坂玄瑞伊藤博文井上馨らも出入りしていたとか。“十朋亭”の命名は儒学者・篠崎小竹
明治維新後もその支援体制は変わらず、明治時代には吉田松陰の実兄・杉民治が萬代家の敷地内に私塾『杉私塾』を開きました。

近代~現代にかけても県内の醤油組合の会長や市議会・県議会議員をつとめ山口の発展に貢献した萬代家。幕末~明治維新の志士ゆかりの史跡/建造物と敷地、萬代家に残された当時の歴史資料が山口市に寄贈され、再整備を経て前述の通り2018年9月に「十朋亭維新館」として開館。

そんな敷地の最奥にある「萬代家主屋」。1889年(明治22年)に茶室を備えた新たな離れとして建立された数寄屋風建築で、大正時代に入って庭園とともに現在地に移築。あわせて二階が増築されて現在の姿となりました。

座敷と奥の茶室の間に庭園があります。近くの『山口ふるさと伝承総合センター』(旧野村家住宅)や、その中で引合いに出してる『露山堂』『菜香亭』の庭園とはまた雰囲気が異なって、その3つが“出雲流庭園~萩の庭園”を流れを汲んでいるように感じる一方で、この庭園は京町家っぽさがある。広い庭園ではないけどすごく良い。

最後に。新築された“本館”では萬代家から寄贈された幕末・維新に関する長州・山口の史料の展示や、プロジェクションマッピング(!)を用いた映像コーナー、そして観光に役立つ街歩き案内も。観光の休憩にもちょうど良い、山口の新名所庭園!

(2021年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山口線 山口駅より徒歩15分(*駅周辺にシェアサイクルあり)
JR山口線 上山口駅より徒歩9分

〒753-0034 山口県山口市下竪小路112 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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