首里の住宅街にたたずむ国指定文化財(国指定名勝)庭園。琉球王族の一家・伊江氏の居館に日本の江戸時代に作庭された琉球庭園、別名“巣雲園”。
伊江殿内庭園について
「伊江殿内庭園」(いえどぅんちていえん)は琉球王族の一家で琉球王家の上級家臣だった「伊江家」の居館の跡に残る庭園。日本の江戸時代に作庭されたと伝わる歴史ある庭園で、国指定文化財(国指定名勝)となっています。
世界遺産『首里城』の麓、旧円覚寺総門や弁財天堂からは徒歩5分ほどの住宅街の中に現れるこの庭園、長らく整備中で入園はできませんが道端から眺めることができます。
琉球王国を統治した王家「第二尚氏」の分家で、琉球王国では王族の一つとされた伊江氏。明治維新後は日本の華族(男爵家)となった家柄で、昭和年代には実業家/貴族院議員・伊江朝助を輩出。また近年では人気タレント:ジョン・カビラさん、川平慈英さん兄弟は伊江家の末裔に当たるとか。
そんな伊江家のお屋敷に江戸時代初期~中期頃に作庭されたのが“巣雲園”と称されたこの庭園。近隣の『首里城書院・鎖之間庭園』ともよく似た、琉球石灰岩の岩盤を築山のようにしつらえた独特の琉球様式の庭園。現在は枯池ですが、手前には小さな池泉の為のくぼみも。
これまで何度か訪れていますが、公開用にきれいに整備はされていないため、訪れるタイミングによっては草によって見えない部分が多かったり、岩組にもブルーシートが被さっている事も(雨風による浸食を抑えるため?)。雨季以降よりは冬場の方が草が比較的少なくて見やすいかもしれない…。(※但し徐々にきれいに整備が進んでいる様子もうかがえます。)
なお、那覇市内には『伊江御殿別邸庭園』という同じ伊江氏によるもう一つの国指定名勝の庭園がありますが、そちらも非公開。那覇市のサイトによると「2015年1月現在整備中」となっていますが、2024年時点でもまだ公開には至っていないとのことでした。
(2014年7月、2018年6月、2024年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)