ホテル玉泉“曲水の庭”

Hotel Gyokusen Garden, Matsue, Shimane

海外日本庭園専門誌がまだ気づいていない…?島根・玉造温泉の温泉宿の美しい庭園…白砂青松の“出雲流庭園”としては屈指の広さ。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

ホテル玉泉“曲水の庭”について

【施設利用者向け】
「ホテル玉泉」(ほてるぎょくせん)は“美肌の湯”“美肌温泉”で有名な島根・玉造温泉郷で日本庭園を有する温泉旅館/ホテルの一つ。島根の名庭園『足立美術館』の庭園が好きならばきっとここも好き!な白砂青松の庭“曲水の庭”があります。(なお宿泊者以外でも日帰り温泉利用でも見学可能とのこと。)

奈良時代に出雲国に開湯・日本最古の温泉の一つに挙げられ、平安時代には清少納言が『枕草子』で“三名泉”と記した玉造温泉。2022年5月に1年半ぶりに訪れました。

玉造温泉のホテル/旅館には日本庭園のある施設が複数ある。前回は「海外日本庭園専門誌」でもランキング常連の『湯之助の宿 長楽園』と俳優・長谷川博己さんゆかりの国登録文化財の宿『保性館』を紹介しましたが、今回宿泊したのはホテル玉泉。

創業は昭和年代の1965年(昭和40年)と前2つと比べれば新しいホテルなのだけれど、航空写真で見ていて「玉造温泉の庭園の中でも1〜2を争う広さでは…?」と思っていたのと白砂が広がる庭園は「これきっと良いぞ」と思って…。玉造温泉、連休にぶつかるとめちゃくちゃ高いので底値のタイミングを狙っての旅行。(日帰り温泉利用もできると事前に知っていれば日帰り温泉で済ませてしまったかもしれないけど、宿泊フロアの4階からの庭園の眺めも素晴らしかったのでまあいいか)

そして期待通りの素晴らしい庭園が!
各宿泊棟やロビー・ラウンジ、三方向からの眺めも楽しめる池泉回遊式庭園。現在の庭園の姿になったのは1972年(昭和47年)で、庭園の中を流れる水の流れは奈良時代〜平安時代に宮廷や貴族の中で流行した“曲水の宴”の場(曲水庭園)をモチーフとしたもの。正面ロビーからは山の借景も美しい!

白砂や彩りある飛び石を主体とした回遊式庭園…という点においては江戸時代後期以降に出雲地方で流行した“出雲流庭園”としての色が濃く出ているのだけれど、これだけ広い出雲流庭園って実は稀有。回遊式ではないけどそれこそ『足立美術館』に次ぐクラスなのでは…(広さで言えば『長楽園』や『由志園』『石照庭園』とかも広いのですが、これらはも少しスタンダードな池泉回遊式邸園)。作庭に関わった方の情報があれば追記したいので、知っている方が居ればぜひご一報を…。

庭園の奥へと進むと茶室や『出世稲荷神社』があります。この茶室、どこかから移築されたとか由緒があるのかな〜と思ってお聞きしたけど、フロントの方々は庭園や茶室の詳細は持ち合わせていないとのことで…。(なおロビーには松平不昧公のお軸が掛けられています。)
庭園には暗くなるとかがり火が灯り、“ライトアップ”とはまた異なる庭園の雰囲気を醸してくれます。

【追記】 茶室は1989年(平成元年)に松江市で開催された第21回全国菓子大博覧会で使用されたものが移設されたとのこと。ホテルより情報をいただきました!

すごく良い庭園なのだけど…意外と自分以外に庭園を歩いている人・眺めている人はおらず。施設のウェブサイトや観光系の案内でも(温泉はもちろんだけど)どちらかと言えば食事推し。

『足立美術館』や『皆美館』『康国寺』といった“白砂青松の出雲流庭園”が高評価の海外日本庭園専門誌の方もきっとこの庭園は好きなはず。まだ気づいていないだけかも…?日本庭園が好きな方の宿泊先候補にもぜひどうぞ。玉造温泉はいつか泊まりたい宿が多くて悩む…!

(2022年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山陰本線 玉造温泉駅より徒歩20分弱
玉造温泉駅・松江駅(松江市内)より路線バス「温泉下」バス停下車 徒歩1分

〒699-0201 島根県松江市玉湯町玉造53-2 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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