国名勝庭園のある『臨済寺』『清見寺』と並び駿府三刹と称されたお寺に、中根庭園研究所が手掛けた庭園。
宝泰寺庭園について
【中庭は通常非公開・要電話問合せ】
「宝泰寺」(ほうたいじ)はJR静岡駅のすぐ近くにある室町時代初期(南北朝時代)に創建したお寺で、庭園の設計・施工を手掛けたのは中根庭園研究所。創設者である“中根金作さんが作庭した”という情報はどこにも無い上、お寺で聞いた際もはっきりしなかったのですが――中根金作さん在命のうちに完成している庭園なので晩年の作かもしれません。
国指定名勝庭園のある『臨済寺』、『清見寺』と並び「駿府三刹」と呼ばれた駿河国では由緒あるお寺で、現在静岡駅がある場所まで達する広さだったそう。江戸時代初期に徳川家康が駿府城で隠居生活を送っていた頃には朝鮮・琉球からの使節が訪れた際にこのお寺で接待されたと伝わります。現在の境内もきれいですがかつても「東海一きれいなお寺」とも言われたとか。
中根庭園研究所のサイトで紹介されている池泉鑑賞式の中庭は普段は非公開。参考サイト『しずおかはなさんぽ』さんの紹介によると、過去には(例年?)ジャカランダの花が見頃に入る初夏に特別公開があるようです。ただし2017・18年は公開されなかったともあるので、2019年に一般公開が行われるかは要電話確認!
それ以外にも前庭には立派な枯山水庭園があります(こちらも中根庭園研究所のもの…かどうかは不明なのですが、浜松の方で見た中根金作の枯山水と雰囲気は似ている)。また京都のお寺さんでも時折見られる杉村孝さんの「わらべ地蔵」が約40個点在していて(それ以外にもかわいい石彫刻が色々)、この前庭全体を「わらべの庭」と呼ばれるそうです。
またお寺の向かいにある「サールナートホール」の館長は宝泰寺のご住職・藤原東演さん。この中には静岡のミニシアター「静岡シネ・ギャラリー」が入っており、静岡の映画ファンから支持を集めているそう。映画以外にも地元やカルチャー系の色んなフリーペーパー、フライヤーが置いてあって、お寺さんがこのような文化施設を運営しているのは面白いなーー!と思いました。
しかし静岡市には駅近に徳川慶喜旧宅&小川治兵衛が作庭を手掛けた『浮月楼』や、駿府城跡にある『紅葉山庭園』など、街中にも庭園があっていいなあと思っていたけど、まさかこんな駅近にこんな立派なお寺さんがあるとは知りませんでした。すぐ近くにある商業施設…マルイや109あたりは昔含めて何度か歩いた記憶あるけどこの道は通ったことなかったなー。次回はジャカランダがきれいな時期に訪れてみたい!
(2019年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)