昭和の巨匠・村野藤吾の建築に囲まれた日本庭園…皇室・竹田宮家の邸宅をルーツとし、港区指定文化財の古建築も配された東京を代表するホテルの庭園。楠岡悌二作庭。
グランドプリンスホテル高輪庭園について
「グランドプリンスホテル高輪」(ぐらんどぷりんすほてるたかなわ)は東京の玄関口・JR品川駅からもすぐ近くのホテル。ホテル利用者が自由に散策できる、約20,000平方メートルに及ぶ広大な日本庭園があります。園内には昭和を代表する建築家・村野藤吾が設計の茶室や港区指定有形文化財の古建築も。
宿泊のみならず数多くのパーティーや記者会見の場としても用いられる、「東京を代表するホテル」の一つ・品川/高輪のプリンスホテル群(グランドプリンスホテル高輪/グランドプリンスホテル新高輪/ザ・プリンスさくらタワー東京)。この3つに囲まれた広大な庭園があります。
グランドプリンスホテル高輪の開業は戦後比較的早い時期の1953年(昭和28年)(※当初の名は「品川プリンスホテル」)で、現時点では最古のプリンスホテル。
元々はこの地は皇室・竹田宮家の邸宅地で、現在も本館に並ぶ形で残されている洋館(『高輪プリンスホテル貴賓館』)は竹田宮邸として大正時代に建てられたもの。設計は宮内庁の技師として多くの近代建築を残している片山東熊、木子幸三郎、渡辺譲。なので現在の庭園のベースとも言える武蔵野崖線の自然の面影を残す緑は、皇室の邸宅の頃からのもの——と言えます。
その後、1961年に別館、1971年に本館が竣工(隣接するグランドプリンス新高輪は1982年竣工)。現在見られる日本庭園は本館と同じ1971年(昭和46年)の作庭。作庭を手掛けた楠岡悌二さん、他の庭園の紹介はこれまでできていないのですが、皇居新宮殿の庭園を手掛けられている人物なのだそう。
本館前の池泉を中心として、品川の都心にありながらも武蔵野崖線の斜面ある地形を活かした池泉回遊式の日本庭園。既存の常緑樹に加え、17種約210本もの桜や池の周りのツツジ/サツキ、そしてアジサイやモミジなど四季の花木が季節ごとに庭園を彩ります。
本館から見て庭園の奥には歴史的建造物も点在。木の橋を渡った先の山門、その先にある鐘楼(奈良『念仏寺』より移築/江戸時代初期)と朱色の観音堂(奈良『長弓寺』より移築)が港区の文化財に指定されています。
その並びにある茶室『竹心庵』、高台部にある『茶寮 恵庵』、そして国際館『パーミル』が村野藤吾の作品。茶寮 恵庵は普段は中に入ることはできないので、いつか用いられるイベント等に参加したい所…。
桜の見頃の時期にライトアップイベントが行われるほか、夏には「夏まつり」、そして江戸時代に高輪の高台に根付いていた『月待ち』の文化を現代に再現した『高輪廿六夜』が年間を通じて実施されています。四季ごとに装いも変わる庭園、訪れたことがある方も再び訪れてみて。
(2017年12月、2023年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)