極楽寺庭園“清閑庭”

Gokurakuji Temple Garden, Kinosakionsen, Hyogo

“関西の奥座敷”城崎温泉のかの沢庵和尚ゆかりの禅寺で見られる五色の配色が美しい石庭。大正時代に再建の本堂は国登録有形文化財。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

極楽寺庭園“清閑庭”について

「萬年山 極楽寺」(ごくらくじ)は“関西の奥座敷”城崎温泉の温泉街にある臨済宗大徳寺派の禅寺。江戸時代にかの沢庵和尚こと沢庵宗彭禅師が再興した寺院で、山門が豊岡市指定文化財、大正時代建築の本堂が。本堂前にの石庭“静閑庭”があります。近畿楽寿観音霊場第三番札所。

2021年9月、香住の作庭説もある文化財庭園『帝釈寺庭園』を見に訪れた後に初めて城崎温泉に立ち寄りました。そのお目当てはこちら。城崎温泉の代表的な『温泉寺』(国重要文化財)へと至る城崎ロープウェイの山麓駅からも程近く。

その歴史は、室町時代初期の応永年間(1394年~1428年)に同じく沢庵和尚ゆかりの出石の『宗鏡寺』を開いた金山明昶(きんざんみょうしょう)禅師により創建。
その後は一時衰退〜荒廃するも、江戸時代初期の寛永年間(1624年〜1644年)に沢庵により中興。城崎温泉を好み湯治にたびたび訪れていた沢庵和尚はこの極楽寺で寝泊まりし、城崎温泉で詠んだ歌も多く残されているとか。

その後は豊岡藩主・杉原伯耆守にも信仰され、1652年(慶安5年)に寺領を寄進され現在の寺観が整えられました。元禄年間(1688年~1703年)より残る山門が豊岡市の文化財、本堂(方丈)は後に焼失し1921年(大正10年)に再建された近代の建築ですが、今日では国登録有形文化財に。

そんな本堂(方丈)前庭として枯山水の石庭“清閑庭”があります。京都の白川砂、鞍馬の赤石・吉野の青石による七五三の石組、そして苔の緑や黒石と五色の色使いで表現された“心の象形庭”。山に囲まれたお寺のロケーションも含めすごくいい!

いつ頃、誰の作庭なのかが気になる…だいぶきれいなので最近(平成年代)の作庭なのかな〜と見ている時は思ったのだけど、過去の航空写真を見ると、唯一のカラー写真:1976年の時点ですでに白砂・黒砂利・瓦で描かれた“心”の字が確認できる。

この“心”の造形は重森三玲『東福寺 龍吟庵庭園』等に影響を受けているのは間違いないと思うのだけど、1976年より前に完成していたとしたらまだ重森三玲が生きていた時代。氏と全く関係ない人がこんなことしない気がするし、京都の庭石を積極的に使っているので『重森三玲に近しく、大徳寺内の寺院に出入りされていた』お弟子さんとかの作庭なのかな〜と想像。誰なのだろうなあ。(重森庭園ほどの立石の主張は無いので、そこはオリジナリティ)

また山門の前の“放生池”も山裾に石組を組み、その中に石仏などが配されて、江戸時代の庭園のような趣き。このお寺の裏山から湧出している“独鈷水”は奈良時代に城崎温泉の開祖・道智上人が発見し、以来1300年間いちども枯れたことがないという名水。霊水“無病長寿の水”とも呼ばれるそう。

城崎温泉は庭園のある旅館も幾つかありそうなのだけど、この時期は(感染状況の影響で)日帰り利用系はことごとく休止…またそう遠くない未来に訪れたい。あと日帰り温泉『一の湯』も豪快な石組の日本庭園のようだったのでオススメ!

(2021年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山陰本線 城崎温泉駅より徒歩13分
豊岡駅・城崎温泉駅より路線バス「まんだら湯前」バス停下車 徒歩2分

〒669-6101 兵庫県豊岡市城崎町湯島801 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
PICK UP / COLUMN
最新の庭園情報は約10万人がフォローする
【おにわさん】のSNSから。