美しい苔庭と茅葺屋根の草庵で知られる、『平家物語』ゆかりの寺院。嵯峨の紅葉の名所。
往生院祇王寺について
「祇王寺」(ぎおうじ)は『平家物語』にも登場する“祇王”ゆかりの寺院で、美しい苔庭と茅葺きの草庵で知られます。現在は『旧嵯峨御所 大覚寺』の塔頭寺院となっており、セット拝観券も販売されています――ってことで2019年夏に大覚寺へ行った足で初めて訪れました!大覚寺からは約2km、徒歩25分程。
その歴史は平安時代、法然上人の弟子・良鎮によって創建されたと伝わる『往生院』が始まり。
『平家物語』で描かれているのは、平安時代の末期、平清盛により寵愛を得た白拍子(舞妓・芸妓のルーツとも)の祇王が“仏御前”というライバルの登場で心変わりし、祇王が館を追われたこと。そして自身の妹・祇女、母・刀自とともに現在の祇王寺で出家したこと。その後、仏御前もこの地を訪れ出家、その4人の尼僧がこのお寺で余生を過ごしたこと――そんなストーリーから“悲恋の尼寺”とも言われます。境内には祇王・祇女・刀自の墓所と伝わる宝筐印塔や、平家物語で祇王が清盛を想って詠んだ歌の石碑も。
その後も尼寺として存続していたものの明治のはじめには廃寺となる程衰退。その後旧地頭だった大覚寺に仏像などが引き継がれ、明治時代の末にかけて大覚寺門跡の楠玉諦師によって再建・塔頭寺院となり現在に至ります。またその再建の際に、京都府知事を務めた北垣国道が嵯峨の別荘から寄贈したのが現在の祇王寺の草庵だそう。内部には御本尊の大日如来像のほか、鎌倉時代の作とされる平清盛、祇王、祇女の像なども見られます。
境内中央に広がる苔庭はいつからあるものと言うよりは自然と育ったものだと思うのですが――この日も(日本人の倍以上の割合で)外国の方がかなり多く訪れていたのが印象的…!近年の猛暑で苔の管理も大変になってきているとお聞きしますが、こちらは山深い場所なのでそんな心配も杞憂になる程に育った苔を満喫。
苔のみならず茅葺の山門と草庵と緑に染まったモミジがそれぞれ美しい。紅葉の名所としても知られるので次回は秋にも訪れてみたい!
余談。前述の通り外国の方が多く訪れていて感嘆の声を挙げていた。そんな反応を見ると、『苔の里』は人気爆発してもおかしくない場所なんじゃないかな〜と思うんですよね…アクセスは良くないけど金沢ついでに行ける場所ではあるし。何かの庭園をダシに他の庭園を持ち上げるようなことはしたくないなーとは思いつつ、祇王寺好きな人は絶対好きだと思うので記載!
(2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR山陰本線 嵯峨嵐山駅より徒歩約20分
嵐電嵐山本線 嵐山駅より徒歩約20分
阪急嵐山線 嵐山駅より徒歩30分
最寄バス停は「大覚寺道」バス停 徒歩約10分
〒616-8435 京都府京都市右京区嵯峨鳥居本小坂町32 MAP