水戸黄門こと徳川光圀ゆかりの寺院に現代の作庭家・枡野俊明と京都・植藤造園が作庭した3つの枯山水庭園。
祇園寺庭園について
【拝観は要事前連絡】
「壽昌山 祇園寺」(じゅしょうざん ぎおんじ)は水戸黄門こと水戸藩二代目藩主・徳川光圀が開基として江戸時代初期に開かれた寺院。平成年代に現代の作庭家・枡野俊明さんにより作庭された枯山水庭園があります。拝観には要事前連絡(法要などがある際は拝観不可)。
同じく水戸光圀公ゆかりの庭園である『保和苑』のほど近くで、国指定重要文化財の『水戸八幡宮』もあるこの一帯は“水戸のロマンチック・ゾーン”の名で散策コースになっています。
2019年9月初旬に初めて訪れました!笠間の『春風萬里荘』や石岡の『大覚寺庭園』と併せて、関東を離れる場所に訪れたかった場所。あと同日まで水戸芸術館で開催されていた大竹伸朗さんの個展『ビル景 1978ー2019』も。
祇園寺の開山は1677年に来日した明の禅僧・東皐心越禅師。先にこの地にあった「天徳寺」の住職を務められたそうで、祇園寺の名になったのはその後の1712年。当時は30以上の末寺を持つという大寺院だったそうで、現在はそこまでではないにせよ、広い境内であるのは違いない。
ただし幕末に火災により伽藍の多くを焼失し、現在も江戸時代から残るのは「金剛尊天堂」のみ。それ以後一時は荒廃したものの、昭和45年に本堂を再建。山門・鐘楼も平成年代に再建…と徐々に復興。明治〜大正期の画家・中村彝、文人・山村暮鳥らの墓所も残ります。
その中で、枡野俊明さんと京都・植藤造園さんにより3つの枯山水庭園が作庭されました。枡野俊明さんがこのお庭を手掛けたのはご住職が修行時代の同期だったからだそう。残念ながら今回は龍門瀑をテーマに造られた『紫雲台庭園“龍門庭”』(1999年)は観ることがかなわなかったのですが――客殿前の“聴楓庭”と中庭“水到渠成の庭”(2004年)を観させていただきました。
『聴楓庭』は中央のクロマツを主木としつつ、その名の通りお庭の左右と頭上にモミジが配されていて――この時は青モミジでしたがきっと秋には美しかったんだろうなあ。“禅”の世界の枯山水の中にも、昔の枯山水にはあまり入ってこない様々な樹木が植えられているのが自然風でとても良くって。
一方で近年の暑い夏を思うと、苔は梅雨時期ぐらいが一番根付きがいいんだろうか…(この日も35度近い残暑)。来年もおそらく水戸へ行く用事があるので、その時にまた訪れたい!
(2019年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR常磐線 水戸駅より約3km(駅周辺にレンタサイクルあり)
水戸駅より路線バス「茨城高校入口」バス停下車 徒歩3分
〒310-0065 茨城県水戸市八幡町11−69 MAP