桃山時代に黄檗宗・梅嶺道雪禅師により再興された際に作庭された、巨石と石組が見所の庭園。滋賀県指定名勝。
福寿寺庭園について
「福寿寺庭園」(ふくじゅじていえん)は滋賀県指定名勝に選ばれている、桃山時代の池泉鑑賞式庭園。
京都に次いで国指定名勝の庭園が多い滋賀県。県の指定名勝にも素晴らしい庭園が多いので、これまでも滋賀県の文化財課の出している一覧から調べて色々と巡ってきました。
その中で――近江八幡市の南部にある2つの滋賀県指定名勝『福寿寺庭園』と『妙感寺庭園』は――お寺の公式がないのは仕方ないとして、滋賀県や近江八幡市の自治体・観光サイトにもほとんど情報がなく。
とりあえずGoogle先生が掲載している電話番号は正しいので、そこからそもそも庭園の拝観が可能かどうかからお電話でお聞きし、2019年夏にこの2つの庭園に初めて訪れました!妙感寺は拝観予約が必要でしたが、福寿寺は(柵の外からという形ではありますが)自由拝観。
福寿寺と妙感寺のある“岩倉町”は1200年頃(鎌倉〜室町時代)から岩倉山から採れる良質の石材を加工を行う、“岩倉石工”と呼ばれる石工の町でした。その職人は近江八幡の八幡堀のみならず大坂城の工事にも携わったとか。ただし現代に入り採石が終了し、現在ではその職人も少なくなっているそう。
妙感寺と比べて山を登った中腹にある福寿寺は平安時代の初期、829年に創建された黄檗宗の古刹でご本尊の千手十一面観音像も平安時代に作とされます。戦国時代の1570年(元亀元年)に兵火によりお堂が焼失してしまった際、村人によって本尊だけ救出されたそう。
その後1580年(延宝8年)に梅嶺道雪禅師によって寺は再興、この庭園もその際に作庭されたと推定されています。本堂と開山堂を繋ぐ渡り廊下(通幽橋)から眺める、横長の池泉鑑賞式庭園。
江戸中期作の『妙感寺』と比べると早い時代に作庭されたものですが、この地で産出されていた岩倉の石をふんだんに使っている点は共通しており、中島?が一つの巨石で表されていたり、巨石が庭園上部に単独で配されているところなんかもユニーク。庭園奥、開山堂の廊下からも眺めてみたいなあ…。
庭園奥にはイロハモミジが。紅葉とこの石組の組合せもいずれ見に訪れたい!
(2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR琵琶湖線 近江八幡駅より路線バス「長福寺」バス停下車 徒歩7分
近江鉄道 武佐駅より約2km(徒歩25分)
近江八幡駅より約3km(駅にレンタサイクルあり)
〒523-0022 滋賀県近江八幡市馬淵町469 MAP