旧堤邸庭園(堤邸広場)

Fomer Tsutsumi Residence ruins Garden, Sanjo, Niigata

マルハニチロを創業し日本の北洋漁業を開拓した実業家・堤清六の生家跡に残る庭園。明治時代の近代和風建築『丸井今井邸』も。

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旧堤邸庭園(堤邸広場)について

「旧堤邸庭園」(きゅうつつみていていえん)は新潟県三条市の中心部にある「堤邸広場」の一角にある庭園。この広場は現・マルハニチロを創業した近代の実業家・堤清六の生家跡で、庭園のほか生家の一部を残した集会場“蒼流庵”や愛宕神社があります。

2021年秋に初めて新潟・三条の中心部を歩きました。目的はここともう一ヵ所、気になっていた庭園があったからなんだけど――信越本線・三条駅~東三条駅から徒歩20分程離れた場所に、どデカい真宗大谷派三条別院をはじめとする複数の寺社仏閣とその門前街(歓楽街)を中心とした町並みが広がっていて、とても歩き甲斐あった。

現・マルハニチロの前身、日魯漁業株式会社の創業者・堤清六はそんな門前街の呉服商“近清”の7代目の長男として生まれました。
この時点では漁業とは全く縁がなかった清六。日露戦争に御用商人としての随行すると、終戦後にポーツマス条約の締結で可能になった北洋漁業に新たなビジネスを見出します。

そこから三条の店を畳んで新潟港へ拠点を移転、船を買って漁業~水産業に進出。明治時代には函館で日魯漁業株式会社を発足、晩年は地元・新潟選出の衆議院議員もつとめました。

そんな新潟・三条の生家はのちに三条市に寄贈され、現在では広場として開かれています。広場の奥、集会場“蒼流庵”に面した池泉庭園はこじんまりとした庭園ではありますが、当時の堤邸から残る歴史ある庭園。清流の中を鯉を泳ぐ姿が見られます。

ちなみに『マルハニチロ創業者ゆかりの庭園』としては遠く山口県の『長府庭園』も。長府庭園は「マルハ」の創業者、堤邸が「ニチロ」の創業者の庭園。

なお、三条市のこのメインストリートには国登録有形文化財となっている明治時代の近代和風建築『丸井今井邸』(旧今井家住宅新館)も(11~13枚目)。現在も札幌・函館に店舗を残し、かつては北海道各地に出店していた百貨店『丸井今井百貨店』の創業者・今井藤七の地元の本邸の一部で、現在は一般公開されています。あわせてチェック。

(2021年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR弥彦線 北三条駅より徒歩10分
JR信越本線 三条駅より徒歩15分
JR東三条駅より路線バス「本町一丁目」バス停下車すぐ

〒955-0071 新潟県三条市本町1丁目6 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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