恵林寺庭園

Erin-ji Temple Garden, Koshu, Yamanashi

夢窓疎石が京都の世界遺産・天龍寺、西芳寺より先に作庭した、関東甲信越を代表する寺院庭園。国指定名勝。

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乾徳山 恵林寺について

「乾徳山 恵林寺」(けんとくさん えりんじ)は鎌倉時代の末に夢窓疎石(夢窓国師)により開かれた禅寺で、戦国時代には甲斐武田氏の菩提寺となり武田信玄ゆかりの寺院でもあります。夢窓疎石にとっては京都の世界遺産『天龍寺庭園』などより先に手掛けた庭園が国指定名勝となっています。

2019年9月に2年ぶり、3度目の訪問!今回は山梨県甲府市のVivitBaseさんのウェブサイトに 『実は世界的な庭園クリエイターが造った!? この秋行きたい、山梨県の庭園』 といった記事でも紹介させていただきました。取材のご協力ありがとうございました!

創建は鎌倉時代の末の1330年。当地、甲斐牧ノ庄の地頭・二階堂出羽守貞藤により夢窓疎石が招かれた建立されました。
晩年は京都で大活躍の夢窓疎石ですが、少年期や大人になってからも甲斐国で長い時間を過ごしました。30代の頃に現・市川三郷町の『宝寿寺庭園』を作庭し、恵林寺庭園を造ったのは56歳の頃。その後作庭する京都『天龍寺庭園』『西芳寺庭園』などの国文化財庭園の中では最初期の作品とされます。

大きな心字池に中の島が配された池泉回遊式庭園で、初めて春に訪れた時には頭上の枝垂桜がお見事でした!
また奥の築山から流れる滝の石組も見所――なのですが、あまりそうした様式を意識せずとも直感的に関東・甲信越地方を代表する日本庭園の一つと感じます。昔はその築山の背後に山号にもなっている乾徳山を借景にのぞめたそう。大きな池泉に借景――嵐山を借景とした天龍寺のような雰囲気だったのかもなあなんて妄想。

この国名勝庭園も素晴らしいのですが、恵林寺は甲斐武田氏の菩提寺として、そして江戸幕府5代目将軍・徳川綱吉の側用人としても有名な甲府藩主・柳沢吉保により厚く庇護されたことで、大寺院として見所がたくさん。
織田信長による焼き討ち後、江戸時代初期に徳川家康により再建された四脚門(赤門)が国指定重要文化財であるのをはじめ、楼門風の三門や開山堂に安置されている夢窓国師の木像が山梨県指定文化財、そしてた武田信玄公の墓所(通常非公開。毎月12日のみ特別公開されるそうなので、詳しくは公式サイトを。)や柳沢吉保夫妻の墓所が山梨県指定史跡となっています。

その他、前庭となっている池泉庭園や方丈前の枯山水庭園も。なお柳沢吉保は東京に特別名勝庭園『六義園』を造営をしているので、恵林寺の庭園が今日に引き継がれているのは氏の庇護もあったのかもしれませんね。

恵林寺では2020年から『武田信玄公生誕500年・450回忌記念事業』が開始され、県指定文化財「武田不動尊」が安置されている不動堂への拝観ルートが整備されるそう。今後の展開も公式サイトでチェックしてみて!

(2014年4月、2017年5月、2019年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR中央本線 塩山駅より約4km(塩山駅前にレンタサイクルあり。営業日注意)
塩山駅より路線バス「恵林寺」バス停下車徒歩3分(日中2時間に1本程度)

〒404-0053 山梨県甲州市塩山小屋敷2280 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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