円通院庭園

Entsuin Temple Garden, Matsushima, Miyagi

伊達家江戸屋敷から移築された小堀遠州作庭の池泉観賞式庭園と松島を表現した枯山水庭園。国重文『三慧殿』も。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

円通院庭園について

「円通院」(えんつういん)は国宝寺院「瑞巌寺」に隣接する、仙台藩主・伊達家ゆかりの寺院。境内には複数の庭園があり、中でも池泉観賞式の庭園は、江戸時代初期に伊達藩の江戸屋敷に造られた小堀遠州作の庭を移築・復元したものだそう。また枯山水庭園「雲外天地の庭」も見どころの一つ。
2019年のGWに5年ぶりに訪れました!松島海岸は2年に1度ぐらい行っている気がしますが、円通院はもう2回訪れていたので――最近行ってなかったけど、載せている写真が古かったので今回再訪。

円通院は伊達政宗の嫡孫・伊達光宗の菩提寺。19歳という若さで亡くなった光宗の菩提を弔うため、仙台藩二代目藩主・伊達忠宗によって建立されました。その際に作られ現在も境内の奥地にある「三慧殿(圓通院霊屋)」は江戸時代初期の建造物として国指定重要文化財となっています。
内部にある厨子には洋バラやダイヤ、スペード、ハート、クローバー…というトランプの模様など西洋的な模様が描かれているそう。これは伊達政宗が主導した慶長遣欧使節でヨーロッパに渡った支倉常長が持ち帰ったバラや遠征先の文化が取り入れられ、このようなデザインになった――と伝わります。

またこのデザインをヒントに、後年の円通院のご住職が境内にバラを主体とした「白華峰西洋の庭」を作庭し、それ以降は“バラ寺”としても知られた――そうですが、今まで訪れた3度ともバラが見頃の時期ではなかったのでそれ以外の庭園を主に紹介します。

■石庭『雲外天地の庭』
受付を済ませ山門をくぐるとすぐに枯山水庭園『雲外天地の庭』があります。「天の庭」「地の庭」で構成され、「天の庭」は松島湾に実在する七福神の島を現したもので、松島湾を白砂で、島々を石で、海岸を囲む山々を苔の築山で表されています。その天の庭から石橋で結ばれているのが「地の庭」。

■遠州の庭
茅葺屋根の本堂「大悲亭」の前にある心字池を中心とした池泉鑑賞式庭園は、小堀遠州が伊達家の江戸屋敷に作庭した庭園を移築・再現したものとされます。パンフレットにも記されているので寺伝としてちゃんとそのように伝わってきたんだろうなぁと思いつつ、東京に現在も残る小堀遠州作庭説のある庭園(皇居東御苑 二の丸庭園浅草寺伝法院庭園)の規模を考えると、きっと伊達家江戸屋敷の庭園ももっと大きな規模だったんだろうなあと想像。
また「大悲亭」は山門とともに江戸時代初期の伊達光宗ゆかりの建造物であり、光宗の早逝後に伊達忠宗によって移築されたもの。松島町指定文化財。

■三慧殿 禅林瞑想の庭
「遠州の庭」の袖から境内を奥に進んだ先、国重文「三慧殿」の周囲にある杉林の自然を活かした岩と苔の庭。これまであまり意識して見てなかったけど、美しい苔庭!

また円通院は紅葉の名所でもあり。今回訪れた時期も新緑のモミジが美しかったけど、秋にはライトアップも開催され境内が紅色に染まるそう。いつか秋の紅葉の時期に訪れてみたいなー!

(2010年9月、2014年4月、2019年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR仙石線 松島海岸駅より徒歩6分
JR東北本線 松島駅より徒歩20分

〒981-0213 宮城県宮城郡松島町松島町内67 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
PICK UP / COLUMN
最新の庭園情報は約10万人がフォローする
【おにわさん】のSNSから。