江戸時代初期創業の道後温泉の老舗宿は皇室御用達の宿。夏目漱石・正岡子規も散策した自然風の回遊式庭園。
道後温泉ふなや庭園”詠風庭”について
「ふなや」は“日本三古泉”愛媛・道後温泉に江戸時代初期の創業から約400年の歴史を持ち、皇族も御宿泊される皇室御用達の老舗温泉宿。夏目漱石・正岡子規など文人にも好まれ、子規が句に詠んだ庭園“詠風庭”があります。
2021年春の広島庭園巡りはしまなみ海道~今治のこの庭園を経て3年半ぶりに松山へ。
日本書紀にも記され“日本三古泉”に挙げられる道後温泉。ふなやの歴史は『道後温泉本館』よりも古く、鮒屋旅館の名で1627年頃に創業。
以来多くの著名人に愛され、先に名を挙げた二人や高浜虚子、与謝野鉄幹・与謝野晶子夫妻、種田山頭火などの文人墨客のみならず、昭和年代以降は昭和天皇皇后両陛下、現・上皇上皇后両陛下、皇太子時代の現・天皇陛下、秋篠宮同妃両殿下・眞子内親王殿下など皇族の多くの方が御宿泊されています。
現在の本館(宿泊棟)は平成年代に入って1993年に全面改装されたもの。
庭園を眼下に眺められるカフェ・ラウンジの背後では1950年(昭和25年)に昭和天皇が宿泊された部屋(近代的な洋風)が展示室として公開されています。
今回訪れた時には『青天を衝け』に乗じて?大正時代に宿泊された渋沢栄一に関するコーナーも。
カフェ利用後に庭園を散策。ザ・日本庭園というよりは自然の小川を中心とした自然風の回遊式庭園ですが、庭園の歴史も江戸時代にさかのぼります。“道後八勝”の一つにも名を連ねた“鴉谷”の中に、松山藩に仕えた儒学者&水墨画家・大高坂天山(大高坂南海・大高坂舎仁とも)が“五清浄室”と名付けた亭を江戸時代後期の天保年間に完成させたのがはじまり。
明治時代に入り、1884年(明治17年)に園内を流れる小川沿いに割烹などが新築され現在の庭園に近い姿に(現在も川沿いの亭で食事が可能。足湯なども)。その当時から紅葉の名所として広まり、正岡子規は友人の夏目漱石と共に訪れた際に下記の句を残しました。
亭ところ々渓に橋ある紅葉哉
この庭園を訪れるのは今回が初めてではなくて、2014年に現代芸術祭『道後オンセナート』を見に来た時にその会場として訪れてた。その時はそんな歴史ある庭園という説明パネルを見逃してたな…。その後継イベント“道後アート2016”でアーティスト・山口晃さんが庭園内の“離れ”に描いた作品『武人圖』は現在も残っており外から眺めることができます。
夜には庭園ライトアップ“詠風庭あかり物語”も。宿泊される方はぜひ夜の庭園も楽しんで。
(2014年5月、2021年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)