法輪寺庭園(だるま寺)

Horinji (Darumadera) Temple Garden, Kyoto

通称“達磨寺”に京都の老舗“庭司”植音の四代目・奥田龍司が作庭した枯山水庭園“十牛の庭”“無尽庭”。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

法輪寺庭園(だるま寺)について

「達磨寺」(だるまでら)の通称で知られる、京都市上京区の「法輪寺」(ほうりんじ)。日本全国より奉納された約8,000ものだるまさんを所蔵する達磨堂や本堂の奥に、京都の老舗造園会社「庭司植音」の四代目・奥田龍司さんにより作庭された枯山水庭園“十牛の庭”“無尽庭”があります。

2020年秋に初拝観。京都でだるま寺と言えばここ!という存在…らしいのですが、自分がこのお寺を知ったきっかけは植音さん施工実績から…。京都は嵐山にも同名の寺院がありますが、こちらは山陰本線/嵯峨野線の円町駅から程近くにある臨済宗妙心寺派の寺院。

江戸時代中期の1727年(享保12年)の創建で、開基は江戸時代前期に妙心寺派の復興に尽力した大愚宗築和尚。開基の荒木宗禎という人物はこのだるま寺しか名前が登場しないのですが…両替商という職種でお寺の開基となっているのは、武家が開基となることの多い妙心寺派では激レアだったとか。
近代(昭和初期)に伊山和尚が入寺して以降に中興。コンクリート造りの「衆聖堂」がある一方で、本堂(方丈)は江戸時代の創建当初の姿を残しているそう。

本堂の裏にある枯山水庭園は、近代には“東の植治・西の植音”とも呼ばれた植音の四代目・奥田龍司(現会長)により昭和後期に作庭されたもの。
向かって左手側にある石組が「十牛の図」を表現した“十牛の庭”で、右手側の苔庭部分は“無尽庭”という別の庭になるのだけど、現在は苔が繋がっているので一つの庭のような見え方。その苔庭の中にはまさに牛に見立てた巨石が配されていて、それに向かい合うかのように縁側には牛の像が佇んでいます。今回はちょうどグラデーションがかかった紅葉と苔の緑、そして青石がカラフルですごく良かった…!

だるまさんの他にも、島津製作所の創業者・島津源蔵の念持仏を祀る学神堂や江戸時代の三条釜座の鋳匠・藤原国次作の妙音の弁天鐘も見所。この三条釜座の藤原国次の名鐘、遠く東北・山形の『光禅寺庭園』で見て以来という!
また映画関係者ゆかりのお寺でもあり、衆聖堂の2階には日本の嘗ての映画関係者800人を祀る“キネマ殿”(貴寧磨殿)もあります。京都の穴場のお寺を探している映画ファンはぜひ。

(2020年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR嵯峨野線 円町駅より徒歩6分
最寄りバス停は「西ノ京円町」バス停下車 徒歩2分

〒602-8366 京都府京都市上京区行衛町457 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
PICK UP - TOUR / EVENT
MEDIA / COLUMN
最新の庭園情報は約10万人がフォローする
【おにわさん】のSNSから。