戦国大名・大友宗麟が開いた寺院に重森三玲が作庭した枯山水庭園“独坐庭”“閑眠庭”。建築は国指定重要文化財。
瑞峯院庭園“独坐庭”“閑眠庭”について
「瑞峯院」(ずいほういん)は京都の大寺院の一つ『大徳寺』の境内南部に位置する塔頭寺院。重森三玲の作庭による枯山水庭園“独坐庭”、“閑眠庭”が見られるほか、室町時代に建立された本堂・唐門・表門が国指定重要文化財となっています。数多くある大徳寺内の寺院で通年で拝観可能な庭園の一つ。2020年6月に約4年ぶりに拝観!
室町時代の1535年(天文4年)にキリシタン大名としても知られた戦国大名・大友宗麟が大友家の菩提寺として創建。開山となった大満国師は上杉謙信の景虎時代に禅の指導にあたった人物だそう。先に挙げた国重文の建造物はその当初から残るもので、中でも本堂は室町時代の貴重な方丈建築。
方丈の表と裏に面する2つの枯山水庭園は1961年(昭和36年)に重森三玲により作庭されたもの。
■独坐庭(どくざてい)
寺名“瑞峯”をテーマにした蓬莱山式枯山水庭園。重森三玲らしい立石の石組を頂点として、砂紋によって表現された荒波を受ける険しい岩礁の半島が表現されています。この砂紋、4年前に訪れた時とほぼ同じなのですが、毎朝ご住職により描かれているのだそう。
その公式の説明以上のことはないのだと思うけど、『龍吟庵庭園』のデザインを思い返すと、岩礁を表した細い長い石組は海から龍が現れそうなデザインでもある。
■閑眠庭(かんみんてい)
別名「十字架の庭」。キリシタン大名だった大友宗麟にちなんで、縦に4つ、横3つの石を配し十字架を表したもの。
あと前回訪れた時は冬だったのでシンプルな石庭という雰囲気だったけれど、今回はキキョウが花を咲かせて石庭のアクセントになっていました。
そして。これまで訪れた時にはあまり意識していなかったけど、大徳寺が茶道・茶の湯と縁が深い流れを瑞峯院もくんでいて、3つの茶室があります。
まず閑眠庭と隣接する“安勝軒”。こちらは表千家第12代・惺斎宗匠好みの茶室で、大徳寺産内で唯一の逆勝手席なんだそう。かつて大友宗麟の時代に同名の茶室があったものの江戸時代中期に廃され、この茶室は同じ名前を冠したもの。
独坐庭の奥にあるのが“餘慶庵”。表千家8代目・啐啄斎宗匠好みの席を写したもので、毎月28日には釜がかかっているそう(在釜ってやつ?)。
気になるのがその前の露地庭。待合の10個ぐらいの赤い鞍馬石が配されているデザインがとてもユニークに感じるし、そこからの苔〜台杉と刈込みで独坐庭を遮蔽している感じとかもすごくいいんだけど、当初重森三玲が手掛けた露地庭はまた別のデザインだったとWikipediaにはあります。本で写真探してみよ。
その他、国宝茶室「待庵」の写しである“平成待庵”も(こちらは予約が必要)。石庭を眺めていたらご住職が声を掛けてくださって、「朝にお経を読んだ後にお茶を飲んでいるから、いつか朝早くおいでよ」とおっしゃってくださったので、いつかお茶をしに伺いたい!(朝弱いんですよねえ…)
(2014年6月、2016年2月、2020年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)