南禅寺の塔頭寺院をルーツに持つ、南禅寺界隈の非公開庭園の一つ。秋は紅葉の名所、春の桜も美しい!
南禅寺大寧軒庭園について
【通常非公開・2020年春に特別公開】
「南禅寺大寧軒」(だいねいけん)は京都五山の別格「南禅寺」の塔頭「大寧院」の跡地にある非公開の池泉回遊式庭園と和風家屋。国の特別名勝『金地院庭園』の隣。庭園は明治時代に造られたのちに、茶道藪内流11世家元・透月斎竹窓によって現在の形に改修されました。
2018年秋の「京都非公開文化財特別公開」で初めて鑑賞、そして2019年秋の特別拝観には1ヶ月で3度訪れました。笑。それぐらいお気に入りの庭園なのですが――2020年は春にも特別拝観があると!開始初日にツイートで解禁されていたので(笑)、飛び起きて行きました。数日前にふと思い立って南禅寺さんのサイト見て「春の公開は無しかなー」と思ってたのでビックリ!
桜の印象がなかったのですが――実際に足を運んで、急にこの週末公開に至った理由がわかった。大きなヤマザクラがハラハラ散り始めていた!(苔と桜の花びらきれい!)
そしてモミジなど落葉樹の葉がまだ出はじめのこの時期は、秋には隠れたり影になっていたパーツもよく見える。奥の滝もよく見えるし、京都の鞍馬石がふだんに使われたというその石組・飛び石も楽しい。隣の非公開庭園『智水庵』(旧横山隆興別邸・金沢で小川治兵衛が手掛けた『辻家庭園』の元の所有者)の樹木の様子もうかがえる。
東山を借景とし琵琶湖疏水を引き込んだ池泉回遊式庭園――という点においては『無鄰菴庭園』を代表として南禅寺界隈の庭園に多いとされる形式ですが、藪内透月斎の手掛けたという庭園は池泉回遊式でありながら茶室『環翠庵』の茶庭としての「わび・さび」を兼ね備えていて、飛び石や石の組み合わせ(石燈籠やつくばいの配置)に特に強いこだわりが感じられる――。
藪内流の代表的茶室『燕庵』にちなんだという根府川石による沓脱石も。東京では(小田原藩主だった大久保忠朝の)大名庭園『旧芝離宮恩賜庭園』などで多く見られる根府川石は、京都ではさほど運ばれてこなかった石材だったゆえ印象的なポイントで使われることが多いそう。
そして庭園の奥の滝から流れてくる清流と苔が美しい――。この庭園の最もユニークなところは、流れの中に建つ“三柱鳥居”。3つの鳥居でトライアングルを造った珍しいこの造形がまた(神々しさというよりは)またかわいらしく、庭園のアクセントになっている。主屋前から眺めた時の奥行きと借景もまた本当に素晴らしかったのですが、個人的にはこの流れの中に浮かぶ鳥居と背後の滝との組合せがすごく好き!
サクラの散り際、ここからの数日が最も美しいはず。秋の公開終盤は人も多くなったけど、春は春でまたスルーされる方も多かったのか…合計1時間ぐらいこの贅沢な庭園独り占めできたので…(離れるのが勿体なくてずっと居た)、お早めに!
(2018年11月、2019年11月訪問、2020年3月。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)