JR鶴見駅直結。枡野俊明と京都・植藤造園により作庭された屋上庭園“清風苑”と本格的枯山水石庭“坐月庭”。
CIAL鶴見屋上庭園について
「CIAL鶴見」(シァルつるみ)はJR鶴見駅に直結する駅ビル。屋上庭園が枡野俊明さんの作庭による“清風苑”、そして枯山水庭園“坐月庭”があります。施工は京都の植藤造園さん。
2020年1月、サッカー×野外フェスの別のあれで『ヨコハマ・フットボール映画祭』(フットボール文化祭)へ。せっかくだから横浜で一つぐらい庭園見たいなあ、と思って行ったことない場所で思い出したのがこちら。
CIALというのはJR東日本グループの駅ビルの一つで、桜木町駅や鎌倉駅の駅ビルもそう。CIAL鶴見の開業は2012年。屋上庭園のみならず一部テナントや内装といったプロデュースも枡野俊明さんが手掛けています。これは鶴見駅に西側に福井・永平寺と並ぶ曹洞宗の大本山『總持寺』があることから、駅ビルのコンセプトが“禅”(禅文化)となったことがきっかけ――とか言うとめっちゃお硬い施設に思えてくるけど、自分は2階の有名シュークリームチェーンでシュークリームを買っていざ屋上へ。期間限定のいちごシュー。
敷砂のような壁面のあるエレベーターホールからその世界観が表現されている、屋上庭園“清風苑”。そのウッドデッキと敷石も枯山水庭園のような波が表現されている。今回は冬で芝生養生期間だったけど、春以降は芝生の築山も入れるみたい。
そして“坐月庭”は四国の庵治石や京都のチャート石、そして白川砂が用いられた本格的な石庭!商業施設の屋上庭園もいくつか見てきているけど、これだけ大きな石が用いられた枯山水庭園がある場所は初めて見た気がする…重量計算も綿密に計算された上で石が選ばれてるんだろうなあ。
少し残念だったのは誰か(たぶんお子さん)が白砂に侵入し景石へ向けて歩いた形跡があったことでしょうか…でも首都圏でこんな砂紋見掛けることなんて殆ど無いし、説明されなきゃわからないと言えばわからない。逆に、一般来場者に砂紋体験とかしていただいても面白そうだなぁと思ったり。
あと個人的に好きなのは、狙った借景ではないと思うのだけど――石庭の向こう側に工場の煙が立ち込めている風景。
“原風景”という言葉が好きだ。鶴見にとって総持寺を筆頭とする禅文化が根付いているように、京浜工業地帯の工場群の風景もその街の歴史であり、多くの鉄塔がそびえる景色って決して“美しくないもの”ではなく、それもまた一つのこの場所の“原風景”なのではないか、なんて思う。
5階には同じく枡野俊明さんが内装を手掛けた禅カフェ『坐月 一葉』も。茶室の施工はなんと京都の数寄屋建築の匠・安井杢工務店さん。こんなに豪華な組み合わせの場所が横浜にあったとは…芝生が青くなる頃にまた訪れたい!
ちなみに…この日は文化財防災デー。こちらの後に總持寺にも訪れました。広大な境内に数多く建つ伽藍(建造物)はその多くが国登録有形文化財。庭園は残念ながら非公開なのですが(以前お聞きした)、また訪れて次はもっと色んな建造物を見てまわりたい。
(2020年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)