国選定重要伝統的建造物群保存地区“豊後の小京都”こと城下町杵築の藩主・松平家の菩提寺に残る江戸時代初期作庭の枯山水庭園。杵築市指定文化財(名勝)。
長昌寺庭園について
「松岳山 長昌寺」(ちょうしょうじ)は“豊後の小京都”杵築の城下町にある杵築藩主・松平家ゆかりの寺院。江戸時代初期に作庭された枯山水庭園が杵築市指定文化財(杵築市指定名勝)となっているほか、仏師浄慶の作と伝わる阿弥陀三尊仏など市の指定文化財を複数有します。
2017年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された杵築の城下町。その「杵築市北台南台伝統的建造物群保存地区」の範囲には含まれないものの道路を一本隔るだけで、同様に古い街の面影が感じられる寺町。その中に門を連ねるお寺の一つが長昌寺。
その歴史について。江戸時代初めの正保年間(1644~1648年)に豊後高田藩主⇒杵築藩初代藩主となった松平英親が開山となり創建。以来松平家ゆかりの寺院、特に藩主の奥方の菩提寺となり、庭園の並びには五代:松平重忠の正室・長昌院殿、九代:松平重休の実母、11代:松平親盈の実母・慈光院殿、14代:松平親明の実母・歓光院殿らの墓所が残ります。
庭園はポストに志納金を納めて自由に拝観する形。本堂/客殿?に面して杵築市指定文化財の枯山水庭園が広がります。
かつて九州の名園として『水前寺成趣園』とも並び称されたという庭園。奥の築山の手前に亀を思わせる亀島、その奥に鶴を思わせる石組を置き“鶴亀”を表現したお庭で、かつて藩主を迎えた客殿の手前に庭園を拝むための平たい“礼拝石”が配されています。そして飛び石を伝って、築山の上の小亭へ…と築山の上からの眺望も楽しめる回遊式庭園。
シンプルな石庭の様で、この様な広い砂地のある回遊式庭園…というのはメジャーではない変わった作風なのがこの庭園の面白い点。
近隣の大分県指定名勝『妙経寺庭園』を除けばこの時代以前の九州に似たデザインの庭園が思いつかないし、京都っぽくもない…山陰地方の出雲流庭園はこの庭園より後の時代…。和歌山の『根来寺庭園』、岡山の『頼久寺庭園』、山口の『普賢寺庭園』あたりにその面影が感じられる?もし関連付けるとしたら『普賢寺庭園』を作庭した雪舟は豊後国にも作品を残しているので、それ以降この地域に残されたデザイン性なのか――
城下町杵築には寺院庭園以外には武家屋敷庭園も。合わせてチェック!
(2015年11月、2023年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR日豊本線 杵築駅より約4km(駅にレンタサイクルあり)
JR杵築駅・大分空港より路線バス「祇園」バス停下車 徒歩15分
〒873-0002 大分県杵築市南杵築380 MAP