“武田四天王”の一人・馬場信春の遠戚の暮らした、国指定重要文化財の豪農屋敷。諏訪藩主が訪れた庭園も。
馬場家住宅について
「馬場家住宅」(ばばけじゅうたく)は松本市の東南部、松本平を一望できる高台にある国指定重要文化財の豪農屋敷。信州地方でやたら目にする“雀おどし”の棟飾りのある本棟造の主屋のほか、表門及び左右長屋、中門、文庫蔵、隠居屋、奥蔵、茶室などが国重文という松本市を代表する民家建築。
2019年の松本アウェー旅行からの庭園巡り。松本市の県指定名勝『中田氏庭園』で「馬場家というお屋敷があるよ」と教えていただいたのがきっかけで初めて訪れました。松本市立博物館の分館でもあるこの施設。「旧馬場家」じゃないのはこの邸宅の半分はまだ馬場家のものだから!
公開されているのは江戸時代末期の嘉永〜安政年間に造られた表門・中門・主屋・文庫蔵までで、隠居屋、奥蔵、茶室は非公開。
馬場家は元は甲斐国の出で、武田信玄の家臣として“武田四天王”の一人にも数えられた馬場信春の遠戚にあたるそう。武田家滅亡後の桃山時代に当地に移り住み、江戸時代には広大な田畑を所有する豪農に。
お庭に通じる中門が豪壮なのは、高島藩主・諏訪氏とも関係性が深く実際に藩主が訪れる程の間柄にあったため。当時は藩主が訪れる際だけに用いられ、現在も閉じられていますが、例年5月1日の松本市の市制記念日と9月21日の「松本市博物館の日」のみ開られるのだとか。
主屋から眺められる横に長いお庭(“坪庭”)と茶室から見下ろす池泉庭園とあるのですが、庭園部分も馬場家の所有なので降りて歩くことはできません。建物は寄贈したのに庭園は所有しておくって面白いなあ。自分たちで改変したいってことなのか…。なお展示室にあった庭園の解説によると、明治時代にはより大きな池泉庭園になっていたのだそう。
馬場家住宅が面白いなあと思ったのは、「土地」が国重文指定を受けていること。写真14枚目の門前の畑とその景観も「土地」として国重文。単体だから“文化的景観”とかじゃないっていう。畑が国重文になっている例って他にもあるんだろうか。次はすっきりと晴れた日にここからの景色を見に来たい!
そしてここでチラシを見つけて次に訪れたのが、同じ本棟造り民家で枯山水庭園の見られる『塩尻短歌館』。
(2019年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR篠ノ井線 村井駅より約3km(徒歩40分)
JR松本駅より路線バス「馬場家住宅東」バス停下車 徒歩7分(平日のみ&本数僅少)
〒399-0023 長野県松本市大字内田357-6 MAP