淡路国守護・細川氏や徳島藩主・蜂須賀家に庇護された寺院に、江戸時代に作庭された兵庫県指定名勝庭園。
護国寺庭園について
「賀集山 護國寺」(ごこくじ)は京都の国宝・日本三大八幡『石清水八幡宮』を開いた行教上人により平安時代に創建された寺院。その庭園が兵庫県指定史跡名勝天然記念物(兵庫県指定名勝)となっているほか、御本尊の木造大日如来坐像が国指定重要文化財。また『八浄寺』等と並び淡路島七福神霊場の一つにも数えられます。
2020年11月に約2年ぶりに淡路島へ。『鳴門・大塚スポーツパーク日本庭園』を訪れる前に淡路島の南部・福良港を拠点に南あわじ市の庭園に立ち寄りました。この護国寺は福良港より約3km。
石清水八幡宮を開いた翌年の860年(貞観2年)、行教は護国寺から坂を少し上った場所にある『賀集八幡宮』(賀集八幡神社)を建立。当時は石清水八幡宮の社殿を模して建立されたそう。護国寺も明治時代の神仏分離令までは賀集八幡宮の神宮寺でした。
室町時代には淡路国守護・細川氏に庇護を受け、江戸時代以降は阿波徳島藩主・蜂須賀家の菩提寺の一つに。兵庫県指定重要文化財となっている現在の賀集八幡宮本殿・拝殿は1631年(寛永8年)に徳島藩二代目藩主・蜂須賀忠英により再建されたもので、護国寺も同じタイミングで伽藍が整備されました。
お堂の裏に横に長い池泉庭園があり、この庭園が2020年に兵庫県指定名勝になりました(それまでは南あわじ市指定名勝)。
池自体は一つなのですが、建物から向かって左手側の滝石組を主体とした池泉鑑賞式庭園が江戸時代初期(同じく1631年頃?)に作庭された“本堂書院庭園”、右手側の石橋が特徴的な部分が江戸時代後期作庭の“庫裏書院庭園”。
なので元々は観賞式庭園なのだけど、お庭に降りてみると広くて背後の山の借景も開放的で、江戸時代の庭園らしい築山を主体とした回遊式庭園のような印象を受ける。今回は紅葉一歩前という季節でしたが、季節の花木が楽しめそうな庭園。また立ち寄りたい。
徳島藩五代目藩主・蜂須賀綱矩の妹・久米姫は護國寺を訪れて以下の歌を残しました。
“清濁る うき世のほかの 山寺の こころを雪ぐ 滝の白いと”
(2020年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
福良バスターミナルより2.5km(徒歩約30分・街中にレンタサイクルあり)
路線バス「ららウォーク前」バス停下車 徒歩5分
〒656-0511 兵庫県南あわじ市賀集八幡732 MAP