光前寺庭園

Kozen-ji Temple Garden, Komagane, Nagano

磐田市のゆるキャラ・しっぺいとも縁深い早太郎伝説の舞台のお寺に残る、鎌倉時代と江戸時代の国指定名勝庭園。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

光前寺庭園について

「光前寺」(こうぜんじ)は南信州を代表する寺院の一つで、本坊・客殿にある池泉鑑賞式庭園と本堂の前にある池泉庭園がとなっています。後者の庭園は鎌倉時代を代表する僧・夢窓疎石の作庭とも。2019年に5年ぶりに訪れました!

創建は平安時代の860年。中世〜戦国時代に掛けては武田家・羽柴家などの武将の保護を受け、江戸時代には大寺院の一つとして徳川家から十万石の大名格を与えられたそう。境内にある大きな三門、三重塔、本堂は江戸時代後期の建造物で、また室町時代から残る弁天堂はとなっています。

鎌倉時代に作庭された本堂前の池泉庭園は、その龍門瀑・滝石組の作風から蘭溪道隆夢窓疎石によって作庭された?と推測されているそう(⇒但し古文書を織田・武田軍の戦災により焼失しているため史料は無し)。
また有料拝観となる本坊・客殿前の庭園は江戸時代初期に築庭されたものでまた作風が異なりますが、斜面の植栽と苔の美しい庭園。客殿・本堂の建物と含め江戸時代のいつ頃かという情報は見つからず…。

ちなみに「光前寺庭園」として国の名勝指定を受けているのは正確に言うと境内全域。上記2つの庭園のみならず、境内の樹木や参道の杉並木(そして光前寺の境内に自生しているヒカリゴケ)を含めて価値が高く名勝指定されている、という珍しい例。また春には枝垂れ桜も有名。

庭園も美しいのですが、個人的に光前寺に思い入れを抱くのは――静岡県磐田市にも縁深い『早太郎伝説』の早太郎が祀られているということ。霊犬早太郎とは。ざっくり言うと、

今から700年ほど前、光前寺に早太郎という犬が飼われていた
⇒ その頃磐田の見付の見付天神では、毎年神様に化けた怪物に子女を供える悲しい習わしがあった
⇒ その怪物が「信州の早太郎」を恐れてることを僧が突き止めた
⇒ その僧が信州に赴き、光前寺に助けを求めて早太郎は見付天神へ行くことに
⇒ 早太郎が怪物を退治、見付に平穏が訪れることに
⇒ しかし早太郎は帰路の途中、怪物との戦いで負った傷が原因で亡くなってしまった…(光前寺まで帰った、という説も)

という話。光前寺は本堂の前に墓所が、そして三重塔のすぐ下に早太郎の像があります。
現代となり、磐田市のゆるキャラ『しっぺい』はこの早太郎がモデルとなっています。磐田市と南信州を結ぶほっこりする伝説。5年前、アルウィンへ向かう前に立ち寄った時には他にもジュビロ磐田サポーターが訪れていた。サッカーではないこういう神話、大切にしたいな〜って思う。

(2014年5月、2019年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

高速バス「中央道駒ヶ根インター」バス停下車 徒歩20分
JR飯田線 駒ヶ根駅より約4km、駒ヶ根駅より路線バスで「切石公園」バス停下車徒歩10分

〒399-4117 長野県駒ヶ根市赤穂北割二区29 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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