鎌倉文学館庭園

Kamakura Museum of Literature's Garden, Kamakura, Kanagawa

湘南の海の眺望も美しい旧前田侯爵家の別邸として建てられた鎌倉三大洋館の庭園。バラ園は鎌倉随一のバラの名所。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

鎌倉文学館について

現在「鎌倉文学館」(かまくらぶんかくかん)として開かれているこの洋館は加賀藩主だった前田侯爵家の別邸として昭和初期に建てられたもので、国登録有形文化財。「旧華頂宮邸」などと共に『』の一つと称されています。昭和の終わりに鎌倉ゆかりの文学者の原稿・手紙・愛用品などの史料を収集保存、展示するための博物館としてオープン。
庭園内にあるバラ園は鎌倉のとして知られ、毎年5月〜6月にかけて『バラまつり』が開催されています。鎌倉大仏の「高徳院」や「長谷寺」からは徒歩10分ほど。

鎌倉文学館の入場門前に「長楽寺跡」の石碑が建っていますが、鎌倉時代には北条政子が夫であった鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の菩提を弔う為に創建された「長楽寺」があったそう。
その後時を経て、明治時代に旧加賀藩主・前田家がこの土地を取得し別邸を建築。最初の和風建築「聴涛山荘」は火事により焼失、大正時代に建てられた「長楽山荘」が改修を経て、16代目当主・前田利為により現在も残る洋館となりました。設計は前田家の建築を担当していた渡辺栄治(ということは東京・駒場の本邸にも携わっているのかな。あちらの設計は別の人ではあるけど)。

太平洋戦争の終戦後には、デンマーク公使や佐藤栄作元首相の別荘として利用された時代も。中でも佐藤栄作元首相は付近に住んでいた川端康成と交流を深めるなど、当時から鎌倉の文学者には知られた場所となり、三島由紀夫は小説「春の」に登場する別荘をこの洋館をモデルに書いたのだとか。
昭和の後期に前田家の17代目当主・前田利建氏によりこの別邸を含む一帯が鎌倉市に寄贈されたのを機に「鎌倉文学館」として開館。また前田利為により命名され、佐藤栄作も好んでいたという茶室“松涛庵”は現在石川県の『金沢21世紀美術館』内に移築されて現存します。

相模湾も見下ろせる高台に建つ独特なデザインの本館はハーフティンバーとスパニッシュを基調としたと切妻屋根などの和風が混在したもの。鎌倉の別荘建築には+洋風といった手法も見受けられるけど、この建築も建物内は和の温かみも残されています。また公式SNSのアイコンになっているステンドグラスも美しかったのだけど、洋館内は撮影禁止…!

そして本館の前には広大な庭園が広がります。日本庭園というよりは洋式庭園ですが。中でも正門・副門寄りにある「バラ園」は約200種ものバラが楽しめる、鎌倉のバラの名所として有名。バラの見頃となる5〜6月や秋には「バラまつり」等のイベントが行われています。
そしてバラ園もだけど洋館前の刈込みも今の時期はまたよりきれいなのだろうなあ。入館料もさほど高くないので、文学に興味がなくて植物・庭園や建物が好きな人でも楽しめる空間。次回はまた別の季節に訪れてみよう!

(2019年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

江ノ島電鉄線 由比ヶ浜駅より徒歩5分、長谷駅より徒歩9分
JR横須賀線 鎌倉駅西口より徒歩20分弱

〒248-0016 神奈川県鎌倉市長谷1-5-3 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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