がんこ六三園(旧松井家別邸)

Ganko Rokusanen Garden, Wakayama

“北浜の今太閤”松井伊助が大正時代に造営した近代の名建築で昼食を、日本庭園とともに。国登録有形文化財。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

がんこ和歌山六三園(旧松井家別邸)について

「がんこ和歌山六三園」(わかやまろくさんえん)は大正時代の庭園を活用した和食レストラン。『旧松井家別邸(がんこ六三園)』として表門・裏門・主屋・茶室・浴室棟・給水棟・土蔵・土塀・便所と合計10棟が

京都市内のの旧宅跡『高瀬川二条苑』(第二無鄰菴)をはじめ、多くの歴史的和風建築をレストラン・料亭として再活用している「がんこ」の“お屋敷”シリーズ。和歌山の店舗に4年半ぶりに訪れました。今回は花菖蒲が見頃の季節!

和歌山県橋本市出身で、後に大阪で“北浜の今太閤”と呼ばれた株の相場師・松井伊助の邸宅として1920年(大正9年)~大正末期にかけて造営。
松井の没後、戦後にはGHQの指令本部を経て、和歌山銀行オーナー・尾藤家の住居に。それと並行して1953年(昭和28年)前身の料亭“六三園”がオープン、2005年よりがんこの“お屋敷シリーズ”4店舗目として開店。文化財になったのはその後、という事例。

食事は母屋のお庭を面した大座敷でいただくことができます。主屋そのものは大きな純和風なんだけど――建物全体としては近代和風建築らしい和洋折衷。
中でも煉瓦造りの給水塔や同じく煉瓦造りの土塀、コンクリート造りの裏門、そこから繋がっている浴室棟のレトロさが六三園の唯一無二なところ。あとアプローチにあるライオン石像も。笑。同じものが大阪の北浜にもあるとか。(今後探してみよう)

庭園も基本は池泉回遊式の日本庭園なんだけど、所々にここならではの松井のこだわりが感じられる。
まずは和の部分。主屋の軒下の手水鉢は大坂城の鉄砲狭間石。写真だと伝わりづらいんだけど排水(海)がすごく深く、そして左右の湯桶石・手燭石がもんのすごく大きな自然石。

庭園全体では紀州や四国の銘石がふんだんに使われており、大きな石灯籠や十三重の石塔がある中で、六三園で感じるのは「自然石の中に“整った切石やコンクリートを配する”のが斬新な時代だったのかな」ということ(これは同じ近代の名庭園『旧蔵内氏庭園』でも思った)。
長屋門の前の石橋や玄関前の大きな正円、そして庭園にも茶室と庭への踏分石が大きなコンクリートの正円。そして主屋前から築山エリアへと向かう前の巨石を渡る時の橋など。

近隣には同じく国登録有形文化財でコロニアル様式の洋館が特徴的な近代建築『郭家住宅』も。今後、公開文化財としての保存と活用を目指していくようで情報発信をされている。六三園とあわせて訪れてみて。

(2016年10月、2021年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR和歌山駅・南海 和歌山市駅より路線バス「小松原五丁目」バス停下車 徒歩5分
JR紀勢本線 和歌山駅より約3.5km(*駅にレンタサイクルあり)
南海本線 和歌山市駅より3km弱

〒641-0045 和歌山県和歌山市堀止西1丁目3-22 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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