林昌寺庭園“法林の庭”

Rinsho-ji Temple Garden, Sennan, Osaka

晩春にピンクに染まる重森三玲庭園。堀河天皇も称えた躑躅山の斜面にサツキの刈込と石組を配した“法林の庭”。

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林昌寺庭園“法林の庭”について

「躑躅山 林昌寺」(りんしょうじ)は大阪府の南部・泉南市に残る、奈良時代に聖武天皇の勅願で行基により建立されたと伝わる古寺。昭和の名作庭家・重森三玲により作庭された“法林の庭”があります。真言宗御室派、和泉三十三ヶ所観音霊場の31番札所。
サツキの刈込が見事な庭園。2021年5月、サツキの花の終わりがけに約4年半ぶりに訪れました。

最寄駅・和泉砂川駅の周辺は中世には京都から“熊野三山”(世界遺産・熊野古道)の参詣道として発展した熊野街道の宿場町でもありました。なので駅からの道には所々歴史を感じる建物も。

街道から緩やかな斜面を登っていくと、“躑躅山”の山号の通り斜面一面にツツジが植わった参道となってお寺にたどり着く。なお重森三玲庭園は境内のオープンスペースにあるので、その参道からの景色がサツキやツツジが連なるその庭園にも繋がる。
なお“躑躅山”の山号は平安時代に堀河天皇が行幸された際にそのツツジの景観から勅号されたもの。なのでこの景観には約1,000年の歴史がある。

重森三玲により“法林の庭”が作庭されたのは1961年(昭和36年)。氏は同年には京都の『大徳寺 瑞峯院庭園』などを手掛けられています。
その斜面の中に波のようなサツキの刈込と青石による立石を配した池泉回遊式庭園(引いて全景を見ると池が見えないけど、実際その場にいると水の音も楽しめる)。5月下旬にはそのサツキがピンク色に染まる…その姿がいつか見たいと思っていた!(…けど2021年はサツキも開花が早くて…ピークの少し後、雨も強い日に当たってしまったのが残念…)

高野山の『福智院庭園』、京都の『光明院庭園“波心庭”』『松尾大社庭園』のように独特の石組とサツキの刈込が溶け込んでる庭園は他にもあるので元々このようなデザインなんだと思っていたのだけれど、泉南市の公式観光サイトのこちらの記事によると実は違うそうで。当初は苔の築山だったものの、お弟子さん・岩田半之丞さんにより現在のサツキの刈込の姿に。

苔の時の写真も見てみたいけれど、現在の姿も“躑躅山”の山号に合っているので好きだなあと思う。来年はピークの晴れた日に行きたいし、大阪の中心部からは遠いけど関西国際空港からは近いので、飛行機利用の旅行をされる方はぜひチェック。

(2016年10月、2021年5訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR阪和線 和泉砂川駅より徒歩20分(東口からの最短距離は薄暗い林道なので、西口から紀州街道を通って行くのが良いです)

〒590-0523 大阪府泉南市信達岡中395 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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