臨江閣・前橋公園 日本庭園

Rinkokaku Garden, Maebashi, Gunma

藤井風のMVのロケ地にも。2018年に新たに国重要文化財に指定。歴代天皇も訪れた近代和風建築と、臨江閣を引き立てる現代の日本庭園。

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臨江閣・前橋公園 日本庭園について

「臨江閣」(りんこうかく)は群馬県庁からも程近く、戦国時代~江戸時代の城郭・前橋城の跡地に開かれた都市公園『前橋公園』の一角にある国指定重要文化財の近代和風建築。“流れ”のある庭園に加え、2008年(平成20年)に新たに開園した日本庭園があります。近年はアーティスト・藤井風さんのMVのロケ地にもなりました。

2021年10月に2年ぶり、コロナ以降では初めて北関東の地を訪れた足で7年ぶりに臨江閣に立ち寄ったので、その時の写真へ更新。前回はまだ大規模修繕前だったけど、その間の2018年には明治時代に建てられた臨江閣の本館・別館・茶室が国重要文化財にも指定されました。

まずは臨江閣について。1884年(明治17年)に群馬県令・楫取素彦の提言と、初代前橋市長・下村善太郎をはじめとする市民有志の協力・募金により、群馬県を訪れる皇族などの賓客の宿泊施設・迎賓館として建築。その際にできたのが西側の本館と茶室で、茶室“畊堂庵”は京都の宮大工・今井源兵衛により手掛けられました。

“臨江閣”の名はすぐ西側を流れる「利根川に臨む」の意味で、また建物からは妙義山・榛名山・浅間山といった上州の名山が眺められたそうで、明治26年の明治天皇の行在所として、明治35年・41年には皇太子時代の大正天皇も滞在されました。実は重要文化財には「天皇東宮行幸啓関係資料」も含まれる。

日本庭園からも目に飛び込んでくるひときわ大きな別館は1910年(明治43年)に貴賓館として新築。時の群馬県知事・神山閏次が計画し、地元前橋の小曽根甚八により手掛けられました。
2階の180畳の大広間が圧巻で、その広さは伊勢の『賓日館』を思い出す。この貴賓館には時の首相・桂太郎大隈重信渋沢栄一が訪れたそう。

戦後には仮の市庁舎として用いられた後に、前橋市の公民館や公会堂として市民の会合や結婚式の場として利用されました。なお重要文化財になった現在も貸館での利用が可能。2015年にはNHK大河ドラマ『花燃ゆ』の舞台にもなりました。

臨江閣の本館の前にも芝生の中に流れのある庭園がありますが、この臨江閣と一体化した池泉回遊式の日本庭園は『楽歩堂前橋公園』内の庭園として2008年に新たに作庭されたもの。設計は『富山城址公園 日本庭園』など各地で公共の日本庭園を手掛けている都市計画研究所

池の向こう側から見ると城郭を思わせる石垣の上部に建つ臨江閣の存在が引き立ち、臨江閣の2階からは池の造形と前橋の風景が楽しめる築山泉水式庭園。斜面の上部からの流れも美しく、自然を感じられる風景が表現されています。今は新しい庭園だけど100年後まで愛されて欲しい庭園。

また前橋公園内には他にも現在の上皇陛下が皇太子時代にご成婚された際に造園された群馬県の形を模った“さちの池”や利根川に面して噴水広場などのある親水公園的なエリアも。前橋観光の際には訪れてみて。

(2014年11月、2021年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR両毛線 前橋駅より徒歩30分(*駅周辺にシェアサイクルあり)
JR両毛線・上越線 新前橋駅より約3km(*駅前にシェアサイクルあり)
前橋駅より路線バス「るなぱあく・臨江閣前」バス停下車 徒歩2分

〒371-0026 群馬県前橋市大手町3丁目15-3 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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