金地院庭園

Nanzen-ji Konchiin Temple Garden, Kyoto

家康のブレーンでもあった崇伝が、徳川家光を迎えるため小堀遠州に作庭させた枯山水庭園“鶴亀の庭”。特別名勝。

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金地院庭園について

「金地院」(こんちいん)は京都を代表する寺院の一つ・南禅寺の塔頭寺院。小堀遠州の作庭した庭園“鶴亀の庭”が国の特別名勝に指定されています。2020年6月、約4年ぶりに拝観しました!

室町時代に足利将軍家により定められた“”の中で最も高い格式の“別格”の位を持ち、京都および日本の禅宗を代表する寺院『南禅寺』。その境内地の中で、地下鉄・蹴上駅から最も近い公開寺院(庭園)が金地院。

創建は室町時代の応永年間(1400年頃)、室町幕府4代目将軍・足利義持により当初は洛北・鷹峯に創建されました。江戸時代初期、崇伝和尚により現在地に移転され再興。
この以心崇伝という人物、徳川家康にとても信頼されブレーンとして幕政にも関与。その影響力は徳川秀忠・徳川家光の時代まで続き“寺大名”とか“黒衣の宰相”と呼ばれたとか。崇伝が様々な制度を整備したことによって、明治維新を迎えるまで江戸幕府と金地院の歴代住職はとても深い関係性を持ちました(逆に、明治維新後はかなり目の敵にされたとか)。

江戸時代初期の1627年(寛永4年)より伽藍が整備されました。その際に建立された大方丈や、の手掛けた「京都三名席」に称される茶室“八窓席”、そして長谷川等伯作の“猿猴の襖絵”、そして家康の遺命により建立された東照宮が
大方丈の狩野探幽・狩野尚信の襖絵、等伯の襖絵、そして八窓席は1時間に1回程度の特別拝観(別料金)で鑑賞可能。八窓席の露地庭も興味深いので是非に。

池泉庭園⇒東照宮と参拝して方丈へと向かうと現れるのが、特別名勝“鶴亀の庭”。小堀遠州の作庭と伝わる庭園は数多くありますが、実際に確実に「関わった」という史料が残されている例は少なく、ここだけとかここと『二条城二の丸庭園』だけとかそこに『頼久寺庭園』も加わったりとか。いずれにしてもここは確実ということで、南禅寺界隈において唯一の特別名勝になっています。また『圓徳院庭園』でもタッグを組んでいる“石組の名手”賢庭も築庭に参加。

崇伝和尚が三代目将軍・徳川家光を迎えるために作庭された江戸時代初期の中でも最も格式が高い枯山水庭園の一つで、向かって右手に鶴島が、左手に亀島が石組により表現されています。またどの季節に訪れられてもいいように常緑樹を中心とした植栽というのも、紅葉の多い京都においては特徴の一つ。もう少し早い時期だったらツツジが花を咲かせてたかな。視点によって大刈込が東山の借景と一体化していくのもダイナミック。

その他、文化財指定を受けていないけど明智光秀により建立され後にこの地に移築された“明智門”も。そして金地院から移されたという国重文の方丈が、同じく小堀遠州作と伝わる枯山水庭園のある『正伝寺』にあります。

(2014年12月、2016年5月、2020年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

京都市営地下鉄東西線 蹴上駅より徒歩4分
最寄りバス停は「蹴上」バス停 徒歩3分

〒606-8435 京都府京都市左京区南禅寺福地町86-12 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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