戸島氏庭園(旧戸島家住宅)

Kyu-Toshima-shi Garden, Yanagawa, Fukuoka

藩主・立花家の茶室だった時代も…柳川藩中老・吉田兼儔が建築した数寄屋風の武家屋敷と柳川城堀から水を引き入れた庭園。国指定名勝。

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旧戸島家住宅(旧戸島氏庭園)について

「戸島氏庭園」(としましていえん)は“水郷柳川”で知られる柳川のに残るの庭園。江戸時代後期に建築され一時は柳川藩主・立花家も所有したも『旧戸島家住宅』として福岡県指定有形文化財。
2022年2月に約6年ぶりに水郷柳川を訪れました。この庭園も6年ぶり!

柳川の代表的な観光地で旧藩主邸の『御花・旧立花氏庭園』からは北西へ徒歩5分ほど。城下町柳川の貴重な公開武家屋敷でもある旧戸島家住宅。一番最初の施主は柳川藩の中老・吉田兼儔で、氏の隠宅として江戸時代後期の寛政年間または1828年(文政11年)に建築されました。

江戸時代後期には藩主・立花家に献上され茶室として用いられたそう。武家屋敷とは言うものの、当初から隠居後の生活のために設計されているので、各部屋の戸には漢詩や杉戸絵が描かれ、茶室があるだけでなく全体的に数寄屋風の意匠が見られる…アートに囲まれた空間。

その数寄屋風の意匠の中にも“月”“月見”がテーマとしてあったそうで、茶室には三日月を模った竹下地窓が、また主座敷や池泉庭園も“池に映る月”を眺めるための空間だったとか。茅葺屋根も草庵風の雰囲気を醸します。(初めて来た頃は“国指定名勝”にばかり気を取られていたからあまり建物を見てなかったけど、めちゃくちゃいいな〜)

明治時代以後は立花家から旧柳川藩士の由布氏へ、そして戸島氏へと所有が移り、その時点で庭園が国指定名勝となったので国指定文化財としての名称は「戸島氏庭園」に。
その後平成年代に建物が柳川市に寄贈され、解体修復がされた後に2004年(平成16年)から文化施設としての公開が始まりました――が、寄贈されたのは建築だけだから?庭園の文化財指定名は“旧”がつかずに「戸島氏庭園」のままだったりします。

その庭園は主座敷から広縁越しに眺める庭園。柳川の街に張り巡らされた“柳川城堀”の水を引き入れ、その流れがL字型にカーブを描いて、再び柳川城堀へと排水されてゆく。雨が降ると池の水位も上がる作りで…今回3回目にして初めて快晴だったので、手前の洲浜や護岸石組もよく見えた。(でも雨の日の庭園も良い色が出る)

こじんまりとした素朴な庭園――その中で、庭園向かって左手奥の赤い鳥居がアイキャッチになっていてすごく良い!座敷からまったり眺めるチルな庭園、ぜひ訪れてみて。

(2013年11月、2016年4月、2022年2月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

西鉄天神大牟田線 西鉄柳川駅から約3km(駅にレンタサイクルあり)
西鉄柳川駅から西鉄バス「御花前」バス停下車 徒歩2分

〒832-0067 福岡県柳川市鬼童町49-3 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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